ゴトウ

わたしの一番最悪なともだちのゴトウのレビュー・感想・評価

わたしの一番最悪なともだち(2023年製作のドラマ)
2.0
観終わってみるとなんだったんだという感じ。ドラマ作ってる人が思う「いまの若者」って感じなんだろうか。いつかなるほど!と膝を打つ回が来るのかな?と思ってたら髙石あかりさんがかわいいだけだった気がする。

就活で「理想の自分」として他人のエピソードを我が物顔で語ってしまった自分を責めてしまう……というナイーブさが、会社勤めするようになってからも「自分が世に出したいものと求められているであろうもの」の間で主人公を苦しめる…という話、まぁなんだか繊細な人に寄り添っているようではありますけれど。主人公が大して追い詰められているような感じでもなく、「就活」自体のグロテスクさにスポットが当たるわけでもない。最終的には小学校以来の同級生である友人との関係性の話になっていくのですが、こんなフワッとした雰囲気ドラマの一要素に使うには就活という話題はヘビーすぎるのでは。適性検査の替え玉受験だの、エピソードのでっち上げだのが聞き齧ったように出ては来るのだけれど、そうした圧力をかけてきた主体の一つである会社に対して主人公はなんだか大切に思う気持ちもあるご様子。

悩み多き若者の人生を描くにあたって、「東京都内で20代の若者が住んでる部屋」をあんなモデルルームみたいなデカくて綺麗な部屋にする時点で真面目に観るのが間違い?それなりに聞いたことあるワードやテーマ散りばめれば共感すると思ったら大間違いですよ。デカい会社の企画職であんな部屋に住めるような金もらって、猫撫で声で接してくる上司に囲まれとるやつの「悩み多き人生」、アホ大学生のセックス武勇伝くらい下らないと思ってしまいますが。受信料取るなら、その金できちんとリサーチしてくださいよ。セットの小物にこだわるよりさあ。真面目に観る気なくなるんだよ。サーヤ出しとけば「いまの時代」についていけてるとか、そんなわけないじゃん。tofubeatsが劇伴作ってればいいドラマになるわけじゃないんだって。全部上辺だけのようにしか思えないのよ。

「就活が続いてる自分だけ外して、友達グループが旅行に行ってた」というフリ自体は相当グロいのに、送りかけたLINEのメッセージを消してまた書き直して…みたいなウジウジのあとでバカみたいにアッサリもとの関係性に戻ってしまう。なんのためにそんな風に生々しいフリを置いたのか?全編通してこういうノリ。アクチュアルな問題を題材にするのであれば、その描き方は誠実であるべきでは。就活や資本主義労働がもつ「システムそのものが問題含みである」という面を矮小化し、信じられる友達がいればなんだかんだで乗り越えられるみたいな綺麗事で丸め込むのは納得いかない。登場人物の誰も金に困ってなさそうだし、明るい時間にプラプラ外で遊んでるし、あっさり休職して地元で遊んでたりするし、「上級国民」的な人たちの繊細さ競争なんか見るに耐えませんけど。憧れと嫉妬が入り混じったシスターフッドを描くだけであれば、適当に就活難航大学生→都内OLという描写を入れる必要がない、ばかりか入れるべきではないはず。20代の会社員はあんなに金持ってません。地域にも会社にもあんな風に頼れる大人はいません。

とこうイライラしてしまうのは、自分と近しい条件で自分よりずっと恵まれた待遇にある登場人物たちに気持ちをかき乱されるから?「野原ひろしに共感できない問題」同様、国力低下の問題なのかしら。であれば、国営放送のNHKはんはそこに一番自覚的でいるべきと違いますか?しょうもないドラマに予算割くくらいならOSOの骨探す人手増やしたれや。
ゴトウ

ゴトウ