ゴトウ

寄生獣 -ザ・グレイ-のゴトウのネタバレレビュー・内容・結末

寄生獣 -ザ・グレイ-(2022年製作のドラマ)
3.0

このレビューはネタバレを含みます

そのまんま話をなぞられるよりかは、これくらい思い切って変えてくれた方がいいのかもしれないけれど、やっぱり原作マンガのストーリーとかキャラクターに思い入れがありすぎた。それなりに意欲的で面白いと思ったけど、オリジナルの要素を外しにいきすぎてもどかしい。

主人公と寄生体の関係を、体に同居するモンスターから人格のスイッチに改変したことで、(ミギーならぬ)ハイジと主人公スインの対話がほとんどなくなった。ミギーにあった愛らしさやおかしさを切って、内面世界での一回に絞ったスインとハイジの対話を盛り上げどころにしたいという意図はわかるのだけれど、ハイジが優しさ(もしくはそれに見えるもの)を獲得していく過程が描かれないので、突然良いこと言い始めても説得力がない。ミギーが熱心に学び、他者と関わることで愛らしい存在になっていく過程が、奇怪な生物による人類讃歌として感動的だったのに……。ラストのあれも踏まえると、寄生体そのものに人間性の芽があるみたいな話になっちゃってない?

物語の初めから警察内の対パラサイトチームがあるので、じわじわと社会に入り込んでいく怪物……みたいな恐怖感も薄い。人間に化けて組織内に入り込む怪物!みたいな展開も通り一遍だし、基本的に警察vsセジン教会の局地戦が繰り返されることになってしまっている。あまり比べてばかりなのも野暮だとは思うけれど、人格スイッチして完全にスインが引っ込んでしまうと、脳を乗っ取れていないとか関係なく寄生体同士の戦いでしかないのよね。

「頭を乗っ取れ」のくだりも、「組織の『頭』」みたいな座布団一枚発言を、無機質な寄生体が何回も言うのもなんか変だ。敵も特にキャラ立ちしていないので、体を乗り換えまくる最後の相手も強敵という感じはしない。ミギー-新一ラインを分離して、それぞれの勢力に寄生体と人間の相棒関係を置いたのかもしれないけれど、各話冒頭の回想シーンくらいじゃ入っていけなかったな……。人と人との(あるいは寄生体との)信頼関係と、組織という「生き物」の冷酷さを対比して見せたのだろうけれど、あからさまにコミュニケーション不足で強権的なリーダーがいるグレイチームも、無機質な殺戮モンスターですみたいな面して最初からガッツリ教祖に率いられて、簡単に優しさに目覚めてしまうファッションサイコ軍団もちょっと極端すぎ!イマジナリーフレンドとかインナーチャイルドみたいなイメージがハイジに重ねられているのかしら。カメレオン俳優のカメレオン演技見すぎて新鮮な驚きはないし、トラウマの乗り越え方に説得力も薄いけど、スインとハイジを演じ分けた主演のチョン・ソニの雰囲気も良かった。ちょっと詩羽ちゃんに似てた気がする。

バイオハザードとかラストオブアスとかを経由してブラッシュアップされたようなパラサイトの見た目やアクションは面白かった。好みだったかどうかは別にして、「別解釈で寄生獣やったる!」という野心的な姿勢はかっこいい。と思ったら、これ原作(というか泉新一)と合流するの?!そして染谷将太じゃないの?!ファンサービスとしては良いけど続き観たいかと言われると微妙ですが……。
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