ゴトウ

何曜日に生まれたののゴトウのレビュー・感想・評価

何曜日に生まれたの(2023年製作のドラマ)
3.0
野島伸司作品というのが押し出されていたけれど、少なくとも意識的に野島伸司作品を観たことがないので(『高校教師』『家なき子』『101回目のプロポーズ』…名作揃いなのにモノマネ芸人を介してしか観たことがないかも…)、その「節」みたいなものはよくわからなかった。変な造語や若者言葉が入ってきて茶化す様な演出がちょくちょく入り、そこが「おじさんが若ぶってる」みたいに嫌がられているのも見た(60歳なんだからそりゃおじさんなのだが)。すいの過去がエンターテインメントとしてビジネスに変わっているように、他人の不幸も距離感次第でただのエピソード、おもしろ話に過ぎないという話なのかな〜と思っていたので、自分は気にならなかった。

人気作家が面白おかしく膨らませるまでもなく、異様に強烈なバックボーンを持った人たちの集まりで、アニメキャラっぽいのは確か。よそ者(でもなかったけど)の公文の介入や、父丈治の絵によって生々しく重苦しい過去の傷が癒されていく…みたいな話でもないのがひねくれているなと思った。月並みの尺度で他人の人生を「解釈」することの傲慢さ、見えている/見せている部分だけで誰かのことをわかった気になることの浅ましさみたいなものを、観ている側にも体験させているのかもしれない。瑞貴とか、まんまとムカついちゃったし。ただ、それもあまりにもミスリードがすぎるというか、わかるわけがないじゃんと思わなくもない。雨宮のセクシャルな部分が物語の盛り上げ装置になっているのもちょっと好ましくないようにも思えたし、「お前が死ねばよかった」とか言ってきたやつらとまたつるめるすいの神経もよくわからない…。

その辺りも安直な「感情移入」の否定というか、モラルやポリシーの部分で他人をジャッジするのもどうなんですかという問題提起でもあるのかもしれない。キャプテンの盗撮とか普通にドン引き案件だったのだけど、当人たちはどうとも思ってなさそうだったし、高校時代の友人と体外受精の相談とか、部外者からするとわからなくても当人たちには自然なのでしょうねという。外野があーだのこーだの言うアホくささが、全く何の意味もないTVer限定の「考察動画」に詰まっているのかも。事実はラノベよりもアニメよりもドラマよりも奇なり、というのをドラマで1クールかけてやることか?と言われたら微妙ではある。持って生まれたかわいさと全開で使いまくったコネクションで、学歴職歴なしの引きこもりがCMに起用される人気モデルになってしまう(しかも本筋と大して関係ない)というのがなんか微妙だった。スウェットでケツかいたくらいで引きこもりだのコミュ障だのって笑かすな、顔が飯豊まりえじゃねえか。真剣に観ていてもスカされ続けるので、どこまで入り込んで観ていいかわからなくなる気もした。

シシドカフカと早見あかり、二人とも顔がバチバチに濃くて姉妹役がしっくりきていた。若月佑美も綺麗だけどイジワルそうな雰囲気もあってハマり役。
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