にゃん

消せない「私」―復讐の連鎖―のにゃんのネタバレレビュー・内容・結末

3.0

このレビューはネタバレを含みます

他人のふりをして近づいての復讐劇、めちゃくちゃ面白いけど、また復讐し返されないのかとヒヤヒヤしながらみてた。復讐に燃えていた藍里を実行に移す前に徳道が病室で殺したのは本当にストーリー的に正解だったと思う。硝子の育て親の死が放火だったとずっと睨んでいた硝子、犯人は同級生3人だと思っていたが、"人気者硝子のレイプ動画"が出回りそれを面白がった賑やかしYouTuberが家に侵入しタバコを落としたことで広まった火事だったと真実に辿り着いたとき、硝子がYouTuberに下した復讐は火炙りによる焼死だった。両親と同じ苦しみを味わえ、と殺害するシーンはスカッとしたし、硝子の復讐心が度を超えず一般的に被害に遭った女性が抱くであろう考え得る範囲での復讐行為だっただけに感情移入しつつ見ることが出来た。ラスト、YouTuberを焼いたまま姿を消した硝子。徳道とも連絡をたったまま。綺麗なラストだった。

内容
1. 灰原硝子は平凡な女子高生だったが、ある人気美容系配信者徳道と出会うことによって、人生が輝き花開いていくーしかし、そんな彼女を妬んだいじめグループによって性的暴行され、その動画を世界へ拡散されてしまう。永遠に消えることがないデジタルタトゥーを刻まれた硝子…それから10年の時を経て、幸せそうな加害者達を観て、彼女が仕掛ける濃密な復讐劇。復讐の連鎖に繋がれた物語。

2. とある婚活パーティーの会場。結婚を急ぐ藍里は、女の武器を使って傍若無人に男を物色し、トラブルを起こしてばかり。そんな藍里に、眼鏡をかけた地味な女がすり寄る。「私と一緒に、婚活してくれませんか?」。藍里の美貌を褒めちぎり、友達になりたいとこびを売るその女は実は硝子だった。「私、奥田明日奈といいます」偽名を使って藍里に近づく硝子。壮絶な復讐劇。

3. 藍里の結婚式が近づき、硝子は式の一部始終を LIVE 配信してはどうかと藍里に提案。「最高の式にしましょう」と熱を込める硝子。しかし、藍里はなぜか浮かない顔。どうやら毒親である母・淑恵のことが気がかりらしい。結婚式に呼んだら台無しにされるに決まってると恐れる藍里。すると硝子はサプライズで呼ぶことを思い付き、藍里に内緒で淑恵の元へ向かう。そして迎える結婚式。全てはこの時のために。ウェディングムービーとして硝子は藍里のSEX中の"ゴム付けなくていいよ"と言葉の入った動画を流す。それは別の男との行為だった。子供が旦那に似てブスだと困るという発言もあり会場は混乱。慌てて逃げ出した藍里は階段を踏み外し転落、重傷を負うのだった。

4. 硝子の次の狙いは、自分を暴行した張本人、大桃武だ。武は妻と娘と3人で幸せな家庭を築いていた。硝子は武が会員制のバーに出入りしていることを突き止めるが、入るすべなく立ち去ろうとした時、「硝子?」…呼び止めたのは、徳道だった。硝子は戸惑いながらも、この10年間の苦しみを打ち明ける。復讐への協力を求める硝子。徳道は渋りながらも協力することに。

5. 復讐が果たせるなら、地獄へ落ちたって構わない。硝子は、10年ぶりに再会した徳道の力を借りて、復讐相手・武の身辺を探り始める。硝子は潜入するため、久しぶりに徳道にメイクを施してもらう。10年前、2人だけのこの時間が何より好きだった、それなのに。徳道のメイクによって別人に変身した硝子に、何も知らない武がさっそく声をかけてくる。正体を隠して憎き男に近づく硝子。武は硝子の仕掛けた罠にまんまとハマっていく。

6. 先輩の不祥事により徳道の会社との契約を任され、さらには昇進のチャンスまで訪れ高揚する武。妻の実里に今まで家族にきちんと向き合ってこなかったことなどを謝罪。「俺の宝物は…家族だよ」と幸せをかみしめる武。だがその頃、硝子は徳道と2人で祝杯をあげていた。「乾杯しましょう…大桃の幸せに」全ては硝子が仕組んだワナだった。幸せを楽しんだなら、あとは落ちるだけ。硝子が手に入れた映像は複数の女性とのポルノ動画だった。睡眠薬を飲ませ同意なく行為を行なっていたのだ。武は警察に逮捕されるも留置所で自殺する。

7. いよいよ最後の1人となった硝子の復讐。相手は10年前武に暴行されて助けを求める硝子を笑いながら見ていた青嶋みちる。みちるは、藍里と武の事件を知り、全て硝子の仕業だということに気付いていた。そんなみちるの勘の良さを知っている硝子は、自分が直接近づくのはリスクが高いと判断。徳道にホスト色恋作戦を持ちかける。

8. 硝子は10年ぶりの再会を喜ぶより子から「私たち、何も変わってない」と笑顔で言われ、複雑な心境になる。3人目の復讐相手・みちるの人生を絶頂にしてから地獄へ叩き落すために、ホストのソラに協力を仰いだ硝子。復讐を急ぐ硝子は、みちるに自ら偽名を使って近づいていく。みちるは闇金に手を出すほどにソラにのめり込む。一方、硝子の復讐に手を貸す徳道は、ソラを巻き込んでしまったことに罪悪感を覚えていた。硝子の思惑通り、地獄への坂道を転がり落ちていくみちる。心からソラを愛してしまったみちるは硝子の手のひらで踊らされていた事を知り絶望する。

9. 復讐は全部終わった。しかし、鏡に映る硝子の顔からタトゥーは消えなかった。まだ復讐相手が残っているかのように。硝子は今まで協力してくれた徳道に深々と頭を下げる。この先も硝子の幸せのために力を貸したいと言う徳道。一方、刑事のより子は、立て続けに起こっている事件に硝子が関与しているのではないかと疑い始めてしまう。狂い始める運命の歯車。終わったかのようにみえた復讐だったが、

10. 10年前の暴行動画が再びネット上に流出し、瞬く間に拡散。おびえる硝子の前に、徳道が慰めに現れる。同じ頃、より子も動画を見ていた。動画を投稿したのは藍里に違いない。より子は病床の藍里を問い詰める。すると藍里は「残りの人生懸けて、“あいつ”に復讐する」。誰にも止めることのできない復讐の連鎖、を徳道が藍里を自殺に見せかけて殺害する事で止める。さらに硝子は、忘れていたある人物の顔を思い出す。硝子はあの日家に火を放ち両親を殺したYouTuberをすれ違いざまに見ていたのだ。

11. 硝子は、火事で両親を失った10年前のあの夜に、youtuber綿貫とすれ違っていたことを思い出した。両親は、綿貫の放火によって殺されたのだ。その目に再び復讐の炎をたぎらせる硝子に、徳道も協力を惜しまない。放火の証拠を手に入れるため、綿貫に接触する徳道。一方より子は、藍里の死に違和感を覚えていた。10年前、硝子の両親はなぜ死ななければならなかったのか。

12. 復讐を果たすために、硝子は復讐相手・綿貫の家に侵入したが、綿貫を殺害するという一線を超えることは踏みとどまった。一方、硝子の出生を調べていた警察のより子と谷口は、硝子の本当の母親が殺人犯であると知って驚愕する。綿貫は自身の配信チャンネルで硝子と徳道が今もつながっていることを暴露、さらに、「灰原硝子の出生の秘密について。暴露されるのが嫌なら止めに来い!」と挑発。

13. ついに始まった硝子と綿貫の直接対決。「最後の復讐を始めます」。これまで硝子は自分に理不尽な暴行をした張本人たちを次々と幸せの絶頂から地獄へと叩き落し、復讐してきた。そして今、最後の復讐を果たす時が来た。幸せの絶頂へ導いてから、地獄に落とす、硝子が最後に仕掛けるワナ、それはどんな配信でもバズることに幸せを感じる綿貫の為に思いっきりライブ配信視聴数をあげたところで配信を切り殺す事だった。硝子は両親と同じ苦しみを味わせる為にガソリンを撒き焼き殺す。
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