にゃん

春になったらのにゃんのネタバレレビュー・内容・結末

春になったら(2024年製作のドラマ)
3.2

このレビューはネタバレを含みます

余命宣告された父と結婚を目前に控えた娘とのストーリーとは知らずに見始めた為に、何度も心に響いて泣きそうに。
抗がん剤治療で苦しむより、最期は自分らしくありたいとし治療を拒む父と、長生きしてほしい娘。そこに父が反対するような貧乏子持ちの結婚相手。父親を安心させたいが為に自分の夢をあきらめて正職に就けばお前の夢はそんな程度だったのかと言われたカズマルくんの気持ちも可哀想でみていられなかった。
最初こそ死ぬまでにやりたい事リストを意気揚々とこなしていた父だが、自分の死期が迫りやっぱり死ぬのが怖いとなってしまう父の気持ちも分かり苦しかった。婚約を延期して父と一緒に居ようとする娘の気持ちも分かるし、早く結婚して安心させた方が良いのか、父が反対する相手なら結婚せず側にいた方がいいのか、私も一緒になって悩みながら見てしまった。
最終的には父に結婚式を見せることが出来たし、父と歩んだ道をバージンロードとして歩き式を挙げる特別プログラムで行われたわけだが、父親の思い出を振り返る写真展を自力で作ったり旅立ちの回と称して結婚と死別の両方をテーマにして皆と最後の言葉を交わす父の姿が素敵だった。きっと本当に最高の親孝行になったと思う。

内容
1. 助産師の椎名瞳(奈緒)は、6歳のときに母を亡くし、以来22年間、父・椎名雅彦(木梨憲武)と反発し合いながらも一つ屋根の下で支え合って暮らしてきた。助産師の仕事にも誇りを持ち、勤務先の院長・杉村節子(小林聡美)のもと、家族の新しい始まりの瞬間に立ち会う日々に幸せを感じている。一方の雅彦は、頑固で破天荒な自由人。男手一つで育てた瞳を心から愛し、持ち前のキャラクターと話術を生かして敏腕実演販売士として働いてきた。そんな父と娘が迎えた2024年の元旦、瞳は「3カ月後に結婚します」、雅彦は「3カ月後に死んじゃいます」とそれぞれ告白し、父と娘は互いにがく然。とりわけ雅彦は、瞳の恋人・川上一馬(濱田岳)が10歳年上の売れないお笑い芸人だと知り、結婚に猛反対。対する瞳も、ステージ4の膵臓(すいぞう)がんだという雅彦の告白をつまらないうそだと決めつけ、反対されても絶対に結婚すると言い張る。大学時代からの友人・岸圭吾(深澤辰哉)と大里美奈子(見上愛)に誘われたお笑いライブがきっかけで一馬と出会い、やがて家族になりたいと思うようになった瞳だったが、まずは何とかして結婚を認めさせ、祝福してもらうことが先決。そこで「死んでも死にきれない」という雅彦の言い分を確かめるべく、またうそであってほしいという願いを胸に、雅彦の主治医のもとを訪ねる。

2. 瞳(奈緒)は、雅彦(木梨憲武)の“死ぬまでにやりたいことリスト”を見て、なぜ雅彦が簡単に死を受け入れるのかますます分からなくなる。そこで、主治医である緩和ケア医の阿波野(光石研)を訪ね、雅彦の本当の気持ちを聞き出そうとする。さらに、雅彦に長く生きてほしいと願う瞳は、作戦を考える。

3. 伊豆の海岸で腹痛により倒れてしまった雅彦(木梨憲武)は、瞳(奈緒)に服のポケットに入った薬を出してもらう。瞳は、それが医療用麻薬と知りショックを受ける。薬が効いて温泉宿で眠りについた雅彦を見て瞳は「結婚までにやりたいことリスト」を見直し、自分にできることはやりたいと、食事療法の本を読むことにする。

4. 瞳(奈緒)は、新しい家族を作るより、今は雅彦(木梨憲武)のことだけを考えたいと、一馬(濱田岳)に正直な気持ちを伝える。瞳との結婚を諦めきれない一馬は、芸人を辞める事を決意。一方、雅彦の願いをかなえようと考えた瞳は、やりたいことリストの「神に謝る」を実行するため、雅彦の同級生だった“神健一郎”を見つけ出す。

5. 岸(深澤辰弥)のことが気に入った雅彦(木梨憲武)は、家に岸を呼んで自分の葬式を仕切ってもらいたいと言い出す。勝手に決めてしまう雅彦に、瞳(奈緒)は呆れる。一方、一馬(濱田岳)は塾の正社員になれると喜び、芸人の道を断つ決意を固めて瞳との結婚を急ぐ。ところが、瞳は一馬との結婚自体を悩んでしまう。

6. 瞳(奈緒)は一馬(濱田岳)との結婚をやめると宣言し、一馬はショックを受けながらもそれを了承する。一方、雅彦(木梨憲武)はやりたいことを一つずつ消していった人生ノートを手に阿波野(光石研)と話し、娘と死に別れることは寂しいと吐露する。延命治療はしないつもりでいた雅彦だが、ここにきて気持ちが揺らいできてしまう。

7. 雅彦(木梨憲武)と瞳(奈緒)はお互いのやりたいことリストを見せ合い、一緒にキャンプに行く約束をする。瞳は食が細くなり薬の量が増えた雅彦の体調を心配するが、二人は準備をしてキャンプへ出発することに。自然の中で楽しい時間を過ごした二人だが、その夜、雅彦はたき火を見ながら“死”への本音、本当は怖いことを瞳に語る。

8. 瞳(奈緒)は一馬(濱田岳)と一緒にLily bridalを訪れ、雅彦(木梨憲武)のための式にプランを変更したいと相談する。結婚式までは生きたいと願う雅彦だが体調が優れず、実演販売士の引退を決意。雅彦は最後の仕事は特別な商品がいいと考え、社長の中井(矢柴俊博)が考案したキッチンバサミを売ろうと張り切る。

9. 雅彦(木梨憲武)が自分の葬儀プランを岸(深澤辰哉)と相談する。しんみりとせず明るく送ってほしいと願う雅彦は、遺影も葬式に来た人が笑ってしまうような写真がいいと提案。岸から話を聞いた瞳(奈緒)は、自分が写真を撮ると宣言し、二人は美奈子(見上愛)と岸に手伝ってもらいながら自宅で遺影撮影をする。

10. 瞳(奈緒)が担当する亜弥(杏花)の陣痛が始まるが、翌朝になっても赤ちゃんは産まれてこず、疲労困憊の亜弥を見た瞳は、助産師としてこれから母になる亜弥に言葉をかける。一方、入院中の雅彦(木梨憲武)は、病床で自分の葬式に呼んでほしい人のリストを作っていた。そして、病院にやって来た瞳に家に帰ろうと言う。

11.3月25日。椎名瞳(奈緒)と川上一馬(濱田岳)の結婚式当日、椎名家には朝から神尾まき(筒井真理子)と阿波野弘(光石研)がやって来て、椎名雅彦(木梨憲武)が新婦の父として瞳の隣に立てるよう、万全のサポート体制を整える。そんななか、瞳は雅彦の目をかいくぐるようにして、一足先に式の会場へ。慌ただしく出て行く瞳に、雅彦は一抹の寂しさを覚えながらも、妻・椎名佳乃(森カンナ)の写真に「行ってくるからな」と伝え、まきと阿波野に支えられながら家の外へ。すると家の前から続くバージンロードを雅彦は目にする。瞳から愛する父へ贈る最後のプレゼント。瞳と一馬が心をこめて作り上げた一世一代の結婚式。父と娘、そしてその周囲を囲む全員でかけぬけた、笑顔と涙が凝縮された、かけがえのない3カ月。結婚式の帰り道、咲く桜を見ながら一緒に見られたねと笑い合う。いっぺんの悔いなし、そう言い切る父は数日後自宅で静かに息を引き取る。
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