Blue

メディア王~華麗なる一族~ シーズン4のBlueのレビュー・感想・評価

5.0
何もかも底が浅い。

シヴがトムとのケンカの最後に言い放った一言。

これだけ豪華絢爛なドラマで、どこまでも飽きさせない人間関係をみせてくれて、ニコラスブリテルの作る音楽は最高で演出もとても素晴らしく、会話劇でのやりとりは今シリーズのエピソード3でもうこれ以上ないというくらい、全員が極まった演技をしていた。あらゆる面で全てでベストスコアです。

でもやはり何もかも底が浅いという言葉が、とても心に残った。

アメリカの白人層から有色人種が多数派になる事で、西洋近代社会/白人社会の終焉を迎えるという事、
高齢化社会に伴う高齢者が第一線を退かない事と家父長制の悪影響、
女性、LGBTQの人々に対する配慮のなさ、これら3つの問題を、メディア企業を創業してる一家の内輪揉めを通して、いうならばメディア/真実の目を通してあぶりだすという形で見事なドラマにしているが、その人間関係はやはり何もかも底は浅かった。

9話目はまさにアメリカの没落を儀式として表していて食い入る様に見ました。ローガンの兄のユーアンの一言一言がアメリカそのものを語っているかのようでした。
それを踏まえてケンダルのあの発言は、アメリカの存在意義と象徴とも言うべきものだったと思う。

確かに世界はアメリカに魅了された。寛容さとその力強さに。でも歴史は本当にアメリカに対してそのような評価を下すだろうか? 

そしてアメリカが生み出した貧しくも人を魅了する概念は、新たなバイキングを生み出し喰らい尽くす。
プライバシー、プッシー、それにパスタ。なんてこった。そこには、底には何にもないじゃないか。

最終話を見ながらケンダル、ローマン、シヴの見事な掛け合いを見るのも最後なのか、と思いつつ微笑みました。

見事なドラマだったと思います。個人的には最終話はエピローグのようなものとして鑑賞しました。
トムとグレック、スターウォーズのR2D2と3POのデコボココンビのやりとりも好きでした。ゴッドファーザーや黒澤明の悪い奴ほどよく眠るなどあらためて見直したりしてとても充実した時間を過ごしました。

ちょっと放心状態。最後まで底なしの深いドラマでありながら、何もかも底が浅いという言葉が記憶に残るドラマでした💯。
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