トランティニャン

ベター・コール・ソウル シーズン4のトランティニャンのレビュー・感想・評価

4.5
まず、ここに書き込まれてるレビューの熱量の高さ。だいたい語り尽くされてる。

アバのカラオケが最後にこんな響きを持つとは(ジミーは下手、チャックは上手い。でも、それを野島伸司は先にやってたか)。ソウル・グッドマンと必殺仕事人マイクの誕生。両者が同じ画面に出ることはもうほぼ無いが、二人とも一度失った「信用」を取り戻すことの難しさに直面する。特にジミーのあの涙は、もう戻れない大きな川を渡る=ソウルになる決意をしたシーンだろう。

マイクパートは、シーズン3に引き続き『ブレイキング・バッド』前日譚として完璧な仕上がり。あの麻薬工場の建設秘話、若きマーロン・ブランド風の獰猛なラロの登場にゾクゾクし、ナチョの運命は翻弄され、ヘクターにはアレが、マイクは困った表情で仕事に没頭し、ガスだけは一貫して完成されている。

ジミーとキムは、ギリガン回で本音というか相手への不満を分かりやすくぶつけ合うも、もはや本音がどこにあるのか分からなくてモヤモヤする。ただ、これが本来当たり前で、これが人間を描くということなんだろう。ドラマだからこそできること。

二人のすれ違いを描く7話でのスプリット画面も見応えあって、二人の関係はこのシーズンで終わると思ってた。
キムは「滑りのジミー」としてのジミーも知っているし、時にそんな彼に乗っかっている。根底にはヒューエルの一件のように他人の苦境をなんとかしたいとする優しさがあるから付き合っているとも言える。
やはりジミーには真人間になってほしいわけで、その複雑さがすべて出てしまっているのが物悲しい。

どんどん『ブレイキング・バッド』に近付いているので、『ブレイキング・バッド』に出ない人たちの運命を心配するようになってる。