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神様、もう少しだけのmaroのレビュー・感想・評価

神様、もう少しだけ(1998年製作のドラマ)
4.5
改めて観直したんだけど、これはやヤバい。。。。・゜・(ノД`)・゜・。
ぜひ多くの方に観ていただきたい。

正直「思い出補正」というのもあるとは思うけど、ストーリー設定やキャラクター背景が今のドラマよりも一段と濃い気がするんだよね。

恋愛ドラマではあるけど、援助交際からのHIV感染っていう社会的・時事的な要素も取り入れて現実感を出しつつ、憧れの音楽Pとのあれこれや臭いセリフの数々など、もはやファンタジーでしかないっていう要素もあるから、そのバランスがいいんじゃないかなと思う。

てか、情報量が多すぎなのよ(笑)
女子高生が援助交際でHIVに感染。
憧れの音楽プロデューサーと恋仲に。
途中、他に女がいたと勘違いし自殺未遂。
で、エイズを発症した後、妊娠・出産で生死をさまよう。
しかも、自分の母親は不倫。
主人公の前に立ちはだかる障害が大きすぎるし、いいことがあったり悪いことがあったりの波が激しすぎる。

特に、第9話でアメリカに行こうとした回から毎話号泣だった。
石川啓吾(金城武)と叶野真生(深田恭子)のやり取りなんて感動的なだけじゃなくて、セリフがすごい。

「あたしは死んじゃうんだよ?」
「そのときは俺の腕の中で死ね。俺がおまえを抱いて看取ってやる」

どこぞの騎士様ですか?ってぐらい、聞いてるこっちが恥ずかしくなるようなセリフなのに、馴染んじゃう世界観なのが秀逸。

リアルタイムで観ていたときは僕もまだ14歳、思春期真っ盛りだったけど、この年齢になるとね、、、いろいろ想うところもある。

その証拠にメイン2人のやり取り以上に感動したのが、真生の家族との関係性。
意外とお父さん(平田満)のエピソードが悲しくて。。。
妻に不倫され、娘は病気になってしかも音楽Pとアメリカへ行くと言い出す始末。
それでも母親のように相談に乗ることもできず、病気を代わってやることもできず、長い間家庭を顧みなかったことに対して何も償えないやるせなさ。

お母さん(田中好子)は安定のいいお母さんだった(不倫はしてたけど)。
娘の健康を誰よりも願ってて。
『家なき子』でもそうだったけど、キング・オブ・母っていうぐらい、田中好子は母親役に安定感があるよね。

極めつけは真生が自分の子供に残したビデオレター。
「生きてるってことは、時間の長さだけじゃないもの。どれだけ心を燃やして生きれたかだもの。あなたのパパに出会って、お母さんは命を燃やすことができた。だから、パパに恋をして、あなたを生んで、それでたとえ命を削っても、人より早く燃え尽きたとしても、お母さん惜しいとは思わないよ」。
こんなビデオレター観たら泣く以外の選択肢ありますか?って。

ちなみに、このドラマって役者さんの演技力自体がメチャクチャ高いかっていうと、案外そうでもない(笑)
そりゃ演技はうまいに越したことはないだろうけど、この作品に関しては、金城武はおそらく自身のルーツから、深田恭子はまだ役者として出始めたばかりだったから、今観るとセリフが棒読みっぽいところもあるのよ。
でも、ストーリー設定の濃さと、それによる役の熱量の多さみたいなのが伝わってきて、演技の拙さをすべて凌駕していた。
僕は演技を本格的にやったことがないからうまく言葉にはできないけど、勢いというか必死さというか、そういうのを強く感じたんだよね。

んでもって、テーマソングも最高。
LUNA SEAの『I for You』♪
物語の盛り上がりが最高潮に達するところ(だいたいラスト5分とかなんだけど)で、あのベースが「ジャ~ン」って入ってくるところがとてもマッチしてる。

特に第1話なんて、秒単位でちょうど半分のところでこれが流れるんだよ。
58分15秒なので、29分7秒5ぐらいで流してきて、こんなピッタンコカンカンある?!ってちょっと感動した。

単純にみんな若いのも感慨深い。
第1話放映当時は金城武24歳、深田恭子15歳、加藤晴彦23歳、矢沢心17歳、仲間由紀恵18歳、宮沢りえ25歳。
メインどころがみんな今の自分よりも10個以上年下なのが感慨深い。

(2019.3.26追記)
(2020.4.6追記)
maro

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