maro

ビーチボーイズのmaroのレビュー・感想・評価

ビーチボーイズ(1997年製作のドラマ)
4.0
なんか海行きたいなーと思って、ふと思い出したので観てみたのだけど、面白すぎるな、このドラマ。

「海が俺を呼んでいる」

ただそれだけのテーマで12話もたせたからね。
主人公の目的もそれを阻む壁も何もない。
もはや夏休みの自分探しの旅。

でもさ、あおーいそら、しろーいくも、ひろ
ーいうみに、反町隆史と竹野内豊という平成の二大ハンサムが降り立っちゃう破壊力はハンパなかった。

それに、まだあどけなさの残る広末涼子、稲森いずみ、マイク眞木でしょー。
今思うと豪華なキャスティング。

他にも、これが女優デビューだった原沙知絵に、山本太郎、畑野ひろ子、春一番が出てるのもエモい。
田中好子の安定の母親役も最高。

実は放映当時はほぼまったく観てなくて。
多分、イケメン2人が民宿で働くって構図にそこまで興味が持てなかったからだと思うんだけど、今観るといろいろ面白い。

全体的に民宿の日常が淡々と描かれているだけで、そこまでドラマチックな展開があるわけでもないし、反町隆史のセリフが聞き取りづらいところもあるんだけど、今も活躍する役者さんたちの若い頃が感慨深いのと、やっぱり今のドラマにはあまりないコミカルなキャラクターについ観入っちゃう。

特に、反町隆史の演じた桜井広海という役は本当におしゃべりでやかましくて意味わからない言動が多い鬱陶しいキャラなんだけど、ここぞというときに繊細な一面もあって、そのわかりやすいギャップに落ちるよね。
捉え方によっては時代錯誤なセリフだとは思うけど、ひとつ彼の徹底したルールがあって、それが以下。

「女は大切だよ。男は、ほら、女に優しくするべきだと思う。でもね、男は女を理由に人生決めちゃいけないと思うんだよね。それは女にも失礼なんじゃないかな」

あんだけチャラチャラしてるのに、ふと真面目にこんなこと言っちゃうからねー。

また、自分もこの歳になると、その桜井広海と鈴木海都(竹野内豊)の人物背景に共感できる部分も出てきたりする。
広海は競泳の日本トップ選手、海都は一流商社マンなんだけど、いずれも本当にやりたいことではなかったから、どちらもその道を辞めて民宿で働くわけさ。

ビビビッて来たんだろうなあ。
他の選択肢は一切考えずに民宿で働いちゃう。
その中で海都のエピソードは泣けるんだよ。。。
上司(平泉成)が退職した海都をわざわざ訪ねに来て、彼に言うんだ。

「誰でもな、みんなおまえみたいにやりたいと思うんだよ。思うんだ。でもな、できないんだよ。現実には。将来のことや家族のこと、いろんなことがあってな。できないんだよ。年取ったら今度こそって思うけど、そんときには大したことできなくなっちまうんだろうな。俺は人生なんてそんなもんだと思う。思うことにした」
って。

「やれよ。好きにやれよ。それで失敗しろ。うんと後悔しろ。あんな馬鹿なマネするんじゃなかったって。会社辞めるなんてバカだったって。ボロボロの人生送って。うんと後悔しろ。俺の人生が間違ってなかったって、おまえが間違ってたんだってこと、見してくれよ。そのときまた見に来るよ」
って。

上司は自分もペンションを持ちたい夢があるから、少し嫉妬も入ってるってこっそり奥さんが話すんだけど、彼なりに部下にエールを送ってるところに感動。

最後のマイク眞木のエピソードは突然すぎてびっくりだけど、海とキャラの魅力で12話突っ走った感じが印象的なドラマだった。

なお、第1話放映当時、反町隆史23歳、竹野内豊26歳、広末涼子16歳、稲森いずみ25歳、原沙知絵19歳。
みなさん今でも変わらず、いや、むしろ今の方がカッコイイ&美しい。
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