トランティニャン

ウエストワールド<ファースト・シーズン>のトランティニャンのレビュー・感想・評価

4.0
映像作品における時間を表現し続けているノーラン兄弟らしいSF作品。
「ウエストワールド」というテーマパークでアンドロイドである「ホスト」が与えられた役割をループし続ける、というだけかと思いきや、その設定を利用した丁寧な大仕掛けが待っている。「役割」「ループ」を意識してみると、そこから逸脱しているポイントがある。

本作は弟ジョナサンとその奥さんの共作で、マイケル・クライトンの原作(映画もあり)を元にしている。完璧に構築・管理されていたはずの最先端テーマパークが崩壊する様や、そこに至る倫理的要素はクライトンっぽい(原作未見で、「ジュラシック・パーク」「アンドロメダ…」からの想像)。ジュラシック・パークと違い、ここに行ったら楽しいかな?というのが正直な感想ではあるが。。

音楽は「ゲーム・オブ・スローンズ」ラミン・ジャヴァディで、本作のスコアも良い。レディオヘッドらの曲を自動ピアノ等で演奏させていて、「No Surprises」や「Motion Picture Soundtrack」は楽曲の良さが際立つ翻案。
OPテーマ含め、HBOらしい世界観の提示の凄さ、描写のエッジはさすがとしか言いようがない。「迷路」が当初考えていたアドベンチャー的なものではなかったこと、細かい設定や管理側の人間ドラマが無駄に多く要素過多で入り込めなかった序盤が惜しい。