Mayo

ボクらを見る目のMayoのレビュー・感想・評価

ボクらを見る目(2019年製作のドラマ)
4.5
BLM運動の最中、私には映画やドラマを見て勉強するしかないと思い、片っ端から見てみることにした。

1989年に起きたCentral Park jogger caseで逮捕された無罪の少年たちが、黒人・ヒスパニック系というだけで不当に逮捕され、警察にむりやり自白させられ、裁判をし、有罪になり、服役し、無罪と証明されるまでを描いた作品。
(エイヴァ・デュバネイ監督のことは、女性のための活動で知っていたけれど、こんなにたくさんの黒人差別についての作品を撮っていることは知らなかった。これから観ていきたい)

1話目で裁判の判決まで行くので、もう吐き気がするほど気分が悪くなる。2時間ドラマであってほしいと願ってしまったけど、4話もあった。見ているのがつらい。けど、これが実際に起きたことならば見なければいけないと思った。

4話目は、当時1人だけ16歳だったために大人の刑務所に送られてしまったコーリー・ワイズに焦点を当てている。
他の4人の少年たちは、逮捕される子供時代と服役後大人になった姿を別の俳優さんが演じているけど、コーリー役だけは、ジャレル・ジェロームが1人で演じていて、この演技がものすごい。素晴らしかった。エミー賞主演男優賞も納得。

いくら、無罪が証明されたとはいえ、彼らが奪われた時間を思うと本当に胸が苦しい。コーリーにいたっては、14年も服役した。涙が出る。見る側が彼らの気持ちを少しでも理解するために、ドラマで見た意味があったと思う。


オプラ・ウィンフリーによる、監督・出演者とモデルになった実在の皆さんへのインタビューも併せて観た。これはドラマ観賞後にぜひ観るべき。
ドラマは、それでも、暗闇の中の一筋の光というか、それなりにドラマとして希望のある様な作りがされていた。それはドラマだもん、当たり前に。
けど、やっぱり実際に経験した人たちの口から出る言葉はもっともっとリアルで、希望なんてないのだ。友達が心配で警察についていったことを後悔してる?という質問に、したり、しなかったり、と答える。警察に嘘をつくようにさせた父親を、許すことはできない、と言う。
そして、それを聞いて号泣しているキャストの少年たちが映し出される。
もう胸がえぐられる。こんなことが、本当に肌の色の違いによって起きているならば、許されてはいけない。
もっともっと知らなければならないことがあるな、と実感した作品でした。
Mayo

Mayo