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記録

「あんまりだ」

山田太一脚本スペシャルドラマ。

小さな町工場に突如ヨーロッパの北から、
社長の腕を見込んで、
風力発電の金属部品の仕事が舞い込む。
しかし、社長が病で倒れ・・・

昔の同僚でホームセンターの主任で働く草平（渡辺謙）、
社長の奥さん・桜（夏川結衣）、
現実を受け止めながら揺れる距離感が絶妙。
２人の演技が素晴らしい。
ホームセンター外の倉庫、ビジネスホテルの食堂、
スナック、夜の事務所、鎌倉、極楽寺のホーム、
２人の好演が、いくつもの名シーンを生んだ。

昔の恋人とわかってながら草平を受け入れる社長（岸谷五朗）、
家庭崩壊の危機に家出する草平の奥さん（田中美佐子）、
父の働く姿に触発される娘（川島海荷）
ＮＣプログラムに奮闘する康（エグザイルのAKIRA）など
助演陣もしっかりドラマを支える。
チョイ役の井川比佐志、柳沢慎吾も見逃せない。

金属のへらしぼり加工
ＮＣ
ギンギラギンにさりげなく
青い珊瑚礁
大人は判ってくれない
大仏
長谷寺
極楽寺
江ノ電

目の前にたちはだかる現実にうろたえる大人たち。
江ノ電の極楽寺ホームでのクライマックスは、
それまでの空気感に一瞬の爆発を生む山田太一脚本の真髄が見られる。

お気に入りは入院している起一を草平が見舞う場面。
短いシーンだが、２人の関係を凝縮した会話が見事だ。

蒲田の町工場と鎌倉が舞台。
東京にいる４年間で、
蒲田も仕事で何度か出入りし、
鎌倉もオフの日に足を運んだことがあり、
個人的に思い入れのある場所が随所に登場し、
空気が現実的に感じられた。

年代によってちがった受け止め方ができそうなドラマなので、
保存版にしておきたい。