こたつむり

池袋ウエストゲートパーク スペシャル スープの回のこたつむりのレビュー・感想・評価

2.5
「IWGPの続編を作りなさい」
と神は言った。六日目の朝だった。
「但し、連続ドラマと同じ配役はスケジュールと予算的に厳しいので、適当にゲストを召喚して穴を埋めなさい」とも言った。

…と聖書には書いていませんが。
なんともスカスカな作品でした。
正直なところ、連続ドラマ版を貶めるような出来栄えです。

何よりも際立つのがゲストの扱い。
本作では重要なポジションにRIZEというバンドを当てはめていますが、物語に絡めるだけではなく、演奏する場面も収録しているんですね。

しかも2曲分。
殆どミュージカルのノリです。でもね。楽曲が素晴らしくても物語に関係ないですからね。ぶっちゃけた話、曲に惹き込まれなければ退屈なだけです。それと横山剣さんも同じ扱い。まるで80年代に大量生産されたMVもどきの映画みたい。

やはり、味わいたいのは世界観。
連続ドラマを彷彿させる雰囲気を如何に醸成させるか。或いは地続きで繋がっている感覚を伝えるか。勿論、大人の事情は分かりますけどね(主人公の家が無くなっているとか)。それをカバーするのが脚本の筈なんです。

しかし、伏線ゼロの物語は肩が下がるばかり。
確かに連続ドラマと尺は違いますが、小ネタを仕込む余裕があるなら、物語を練り込む余地は十分にあると思います。

だから、捻くれた感じで捉えちゃうんですよ。
「これは話題性だけのオファーだな」とか「テレビ局の上層部が独断で決めたのかも」とか詮索したくなっちゃうのです。

まあ、そんなわけで。
名作と誉れ高い『池袋ウエストゲートパーク』の後日譚。連続ドラマの頃に格別の存在感を放っていた面々は登場しない、登場しても場面が少ない、と難点が多いので、音楽面で惹かれるものがなければ微妙。孤軍奮闘する長瀬智也さんを楽しむ気持ちだけが吉です。
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