こたつむり

蝶の力学 殺人分析班のこたつむりのレビュー・感想・評価

蝶の力学 殺人分析班(2019年製作のドラマ)
4.5
★ 咲いて 割いて 裂いて 差異て
  動くところが視たい 生命の躍動が診たい

『殺人分析班』シリーズ第3弾。
というか完結編の勢いを感じました。
このシリーズの主軸は主人公・如月塔子の成長譚。第一作目では右も左も分からない状態でしたが、本作では班の指揮を執るようになります。まさに“陽が昇る勢い”ですね。

しかも、その成長がお仕着せではなく。
両足で大地を踏みしめているのが良いのです(具体的に感じるのは周囲の視線。彼女の意思を確認する、という間を描いています。また、階級的には警部補が指揮を執る筈ですが、そこを彼女に任せているのが上司の度量の広さ)。

だから、面白いのでしょう。
正直なところ、事件なんて彼女の栄養素に過ぎず。肌が粟立つような猟奇性に大きな期待を抱いてはいけないのです。

…なんて姿勢で臨んでいたら。
いやいやいやいや。今回の事件も面白いですよ(とか言ったら不謹慎ですが)。意外性を最後まで残しておくために、若干の唐突さはありますけど「次に何が起きるのか?」という部分は見事に確保。一話ごとにグイグイと前のめりです。

そして、終盤の謎解きを経て。
涙腺を弛ませるような背景描写もあり、倖薄そうなロケ地も含めて(このシリーズはロケハンが良い仕事をしています)ググっと持っていかれました。あー、面白かった。

…からの。
…微笑みの爆弾。ちゅどーん。
小学生の頃か(以下、核心に触れる30行は省略)

まあ、そんなわけで。
カタルシスを抱くためには高いハードルが必要。そして、それを視聴者が共有するには、視線の高さを自分で調整することが必要。なので、ネタバレを読まずに能動的に楽しんでもらいたいです。いやぁ。圧倒的ですわ。あれは凡百じゃ(以下自主規制)

それと、最後の最後でサービスもありますよ。
本作は成長譚ですが、青木崇高さんの存在も大切。ある意味で彼も“萌えキャラ”と言っても過言ではありません。というか朴念仁過ぎますよね。最後のトマトは絶対にギャグだと思います。

そして、最後に吉報。
来年は彼が主人公のシリーズが始まるとか。
確かに如月塔子は独り立ちしましたからね。彼女の活躍も観たい気がしますが、それは蛇足なのかもしれません。いやぁ。楽しみだなあ。
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