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今際の国のアリスの都部のレビュー・感想・評価

今際の国のアリス(2020年製作のドラマ)
3.9
麻生羽呂先生のデスゲーム漫画『今際の国のアリス』を原作としたNetflix実写化ドラマシリーズで、潤沢な予算による迅速に展開される物語はコミックスの雰囲気を十分に踏襲した上で一ドラマとして鑑賞に耐えうる優秀な出来となっている。

序盤から人間が消失した無人の渋谷──実際に渋谷を無人にすることは不可能なので恐らく足利スクランブルシティスタジオで撮影したと考えられるが──に主人公を含めた三人の青年という構図で、見慣れた東京の景色を用いた否が応でも非日常感を煽られる演出は序盤の雰囲気作りとして結実していて、理不尽なデスゲームをキャラクター観客共にそういうモノとして受け入れる土壌を作るのが巧み。

トランプに準えたデスゲームもシンプルかつ数が豊富で、基本的には終盤まで一話1ゲームと中弛みをさせないスピーディさが意識された構成だったのが特に良かったように思う。

クリフハンガー頼りではないというのもあるが、次話へのヒキでゲームの決着持ち越しをしないという極力作品以外の要素でストレスを感じない堅実な作りなのはこの手の配信ドラマとして実に結構だ。
(視聴率を度外視した配信ドラマだからこそか?)

デスゲーム物で人を選ぶ要素として上げられるエログロも最低限度に収まった上でチープさを払拭した物となっており、パブリックイメージでのデスゲーム像を踏襲しながらジャンル初心者にも優しい丹寧なドラマシリーズなので完成度が高くオススメしやすい作品となっていた。

シーズン2は12月からNetflixで独占配信ということで、個人的にそれなりに楽しめたので期待して待ちたいものだ。
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