むぅ

青天を衝けのむぅのレビュー・感想・評価

青天を衝け(2021年製作のドラマ)
4.0
何というか、MCU的な。

『鎌倉殿の13人』の最終回、オープニングで次の大河ドラマの『どうする家康』の家康が鎌倉幕府の実績を記した吾妻鏡を読んでいるというシーンがあった。
その時も「お!」と思ったのだが、今回もそんなシーンがあった。
旧千円札が新旧一万円札を引き合わせるのである。
いや、言い方が悪すぎる。
伊藤博文が渋沢栄一に福沢諭吉を紹介するという、物語を進める上では全く必要はないのだが、こちらとしてはニヤッとしてしまうシーンが挟み込まれていた。
おそらくそれだけのためだった福沢諭吉を演じている俳優を調べてみたら、歌舞伎役者でテレビ出演は今作のみ。
何でキャスティングされたんだろうというとても失礼な疑問を持ちつつwikipediaを読み進めていって、合点がいった。
幼稚舎から慶應義塾なのだ。
福沢諭吉に所縁のある人を引っ張ってきたのか、とちょっと笑ってしまった。


それこそ福沢諭吉や伊藤博文と違い、渋沢栄一、私は「次の一万円札」以外の情報を持っていなかった。
幕末から明治・大正・昭和と激動の時代を生きた渋沢栄一の人生を描く。


「50年経っても私がしてるのは維新の後始末じゃ!」
渋沢栄一に詰められた大隈重信がこう叫ぶシーンがあった。
大隈重信を演じる大倉孝二が好きというのもあるが、私には衝撃的な台詞だった。
徳川慶喜のもと幕臣であった渋沢栄一を通して、徳川慶喜を丁寧に描いている作品でもあった今作。どの立場から物事や人物を見るかによって印象は変わるという事を象徴する"キャラクター"としての役割が大きかったのではないかという徳川慶喜。
そして明治維新も、その後どのように大正や昭和に影響を与えていたかという事が描かれており、興味深かった。
「今は」「昔は」、よく耳にする言葉だけれど、"時代"として特徴や年代により区切る事はあっても、時はずっと繋がり続いているのだという事を考えさせられる作品であり、大隈重信の台詞だった。

大河ドラマ、オープニングのクレジットに渋沢栄一(17)とか渋沢栄一(90)とか、その話での年齢を表示してもらえないかなと無謀な望みを抱いている。
どちらも演技は良いのだけれど、年齢を重ねるごとにご本人の若さが際立ってしまう吉沢亮と、どんどん馴染んでゆく草彅剛の対比が面白かった。

中川大志のファンなのに、中川大志と福士蒼汰の見分けがつかない友人がいる。
大倉孝二と三浦誠己の顔も見分けがつかなかったりするのかな?聞いてみようかな、と思いながら出てるとラッキー!と思う大倉孝二と三浦誠己お二人共が出演されているのが嬉しい。
大河ドラマ、キャストが豪華なのが本当に楽しい。


青天を衝け
その信念のもと"日本資本主義の父"と称される渋沢栄一の91年という時の流れを描いた今作。
面白かった。

新一万円札を手にした時「その節はどうも」となりそうなくらいには渋沢栄一に謎の親近感を持った。
そして思う。
福沢諭吉を出すなら、同時代に生きていた津田梅子と北里柴三郎も何とかねじ込めば良かったのに。
さすがにそれはふざけすぎか。
むぅ

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