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ペーパー・ハウス シーズン1のkuuのレビュー・感想・評価

ペーパー・ハウス シーズン1(2017年製作のドラマ)
4.2
『ペーパー・ハウス』
原題: La casa de papel.
英題: Money Heist.
製作年2017年。 話数13。

本作品は、2017年から放送されているスペインのテレビドラマシリーズで、スペインの造幣局に立てこもった8人組の強盗団を描くアクションドラマ。

2017年にスペインの放送局Antena 3からパート1と2が放送され、その後Netflixが独自に再編集し全世界へ配信した。
個人的には『ロック・アップ/スペイン女子刑務所』のサライ・バーガス・デ・ヘスス演じるアルバ・フローレスが、本作品じゃナイロビ役で出てたのであがった。

お話は、
キャラの濃い~ぃ8人組の強盗団が、67人の人質を取りマドリードの造幣局に立てこもった。
24億ユーロを持って脱出するという完璧な計画を練っていたが、強盗団は崖っぷちの状況に追い込まれる。
“教授” (実質リーダー)と呼ばれる謎の男が、犯罪歴のある男女8人をリクルートしてチームを結成。
8人を詳しくキャラを説明したいのはやまやまですが割愛します。
造幣局に11日間にわたり籠城し、24億ユーロ(約3100億円)もの紙幣を印刷して、史上最大の強奪作戦に挑むというめちゃスリリングな内容です。
強奪チームのメンバーは本名を伏せ、ベルリンやトーキョー、ナイロビをはじめとする都市の名前で呼ばれ、自分の身元や過去を仲間に明かすことを禁じ、教授はメンバーと合宿のような体制を取り、緻密な計画を達成するために徹底的な“教育”を施していきます。
そして実行の日。
チームメンバーは造幣局に立てこもり、67名の人質を制圧。
計画は順調に進んでいたように見えたが。。。

もう暫くは連続ドラマは観ないつもりでいたのに、1話だけと思い見始めたら嵌まるはまる。
多くの "強盗 "をテーマにした映画やドラマとは違って、今作品じゃ、完璧な計画と強盗の専門家によって不可能に近い謎が解かれてるわけちゃうねんなぁ。
教授が指揮する強盗は、途中で多くの致命的なミスを犯し、問題を抱えた人々によって進められる。
しかも個人的ながら、観進めていくと加害者が性根ではエエ奴が多く、被害者が性悪が数人いる。
そこに、犯罪は憎むべきとこなんやけど、立て籠りグループを応援してました。
『オーシャンズ11』とかにはない、教授の危険な計画が、小生にはかなり高めの興奮を誘ったし、強盗の最中、各メンバーは多くのミスを犯すのを見事にバックアッププランと柔軟な解決策をアシストする教授。
そのおかげで、一行は何とか乗り切る。
その結果、この計画が全体的に完璧やと感じていくんやし不思議な感覚でした。
また、この計画を完璧に感じさせんのは、
これは不完全な人間が実行する、不完全な計画なんやって考える教授の現実的なビジョンのなせる技。
そのため、教授は細部にまでこだわって、ポリスが犯人と交渉して人質を救出する手順から、人質の心理や危険な状況下での行動まで、強盗のあらゆる側面を何年もかけて研究している。
計画で発見されたリスクは、別の計画でカバーする。
観てて、それぞれのメンバーの過去の人生と、どないしてこの狂った作戦に行き着いたのかを目の当たりにした。明らかに、それぞれのメンバーは人生の行き詰まり、後戻りできない状況にあり、莫大な借金を抱え、深刻な病気を患っているけど、ゼニ(お金)ちゅう共通の目標を持ってる。
失うものは何もない、強盗が成功すれば新たな人生が待っている、ちゅう2つの理由が原動力になってるけど、せや、それぞれの強盗は個人的な目的を持っており、計画を台無しにしようとする者は誰でも殺すと主張する者もいる。
その結果、強盗団の内部には深刻な問題が山積し、強盗団は壊滅状態に陥り、王立造幣局もポリスに侵入されそうになったりとハラハラばかり。
長い間、造幣局内に閉じ込められ、人質やポリスの抵抗で犠牲者が出たことで、犯人たちは生きて造幣局を脱出するためには、協力し合わなければならないことを知る。
また、今作品がオモロイのはポリス側でもアレコレ物語が展開していくねんなぁ。
ポリス側には、プリエト大佐とラケル警部が、人質救出の優先順位についての対立を明らかにして、プリエトはスペインの諜報機関に所属しており、英国大使の娘であるアリソン・パーカーが人質の一人であることから、国の機密情報や外交関係を守るために政府の政治的指示に従っている。
彼はアリソンを優先し、ラクエルにも同じことを要求する。
一方、腐敗した法律と家庭内暴力の被害者であるラケルは、システムをあまり信用せず、たとえ権威にそぐわなくても、最も人道的で公平な解決策を重視する。
この対比は、ポリスが強盗に侵入する方法を見つけるために、強盗に対して賢くなろうとする試みに悪影響を与える。
教授の知性は侮れず、一人では対抗できないことを悟ったプリエトは、ラケルの話を聞くことを決意し、一刻も早く人質を救出するという共通の目的を持つことになる。
強盗側とポリス側の目的の変化は、特にお互いの真の強さを認識して、一人ではこの戦いに勝てないことを明らかにしたときに起こる。
強盗の前に教授は、恋愛禁止、無実の人を殺さないなど、強盗の最中に違反したらアカン基本ルールを述べる。
これらのルールは、単にプロ意識を維持するだけではなく、他の犯罪者との差別化にもなってる。
それは、強盗側の各メンバーの人質への接し方を見れば明らかで、彼らは人質を従わせるために暴君のふりをしながらも、人質への共感を持ってる。
そこが、全くの悪人じゃないし心底憎んで観れない、むしろ応援したくなる。
キャラの一人モスクワは、息子のデンバーが人質を殺した(実は殺していない)と聞いて心臓発作を起こす。
彼はデンバーに彼なりの理念を説く『自分たちは泥棒であって、殺人者ではない』と。
彼らはあくまでも強盗とは違う(厳密には強盗の被疑者たちやけど)、ポリスは法律や政府のルールに従う。
彼らが従うのは、単にそれが法律であり、それが真実を表していると固く信じてるから。
せや、権威に頼り切ってしまうと、その法律が人間の原理に合わなくなったときに、彼らの良心が弱くなってしまう。
プリエトはアリソン・パーカーを助けることを優先し、それが他の人の安全に影響を与える可能性がある。
その結果、他の人たちの安全に影響を与えることになるんやけど、彼は経歴や肩書きに関係なく、誰もが同じように扱われるべきやという事実を無視してる。
ラケルの元夫であるアルベルト・ビクーナは、アルベルトが喧嘩を始めたにもかかわらず、教授(サルヴァ・マーティンという偽名を使っている)をポリスの嫌がらせで告発する。
この状況は、ポリスの力が間違った目的のために使われていることを示している。
結局、ポリスがこの強盗事件を解決できなかったのは、人質を救出するためではなく、自分たちの欠点をカバーし、評判を保つために警察が行った行為であるため、警察の力が大きく影響してんのである。
第1シーズンで最も象徴的な映像は、警部のラケルが鞍替えを決意する場面かな。  
ラクエルは本来、法が正義をもたらすと信じているさかいに、法に仕える権現。
しかし、元夫が彼女の生活を邪魔し、裁判所からの判決にもかかわらず娘を連れ去ると脅迫してきたため、法は彼女に正義をもたらさへんかった。
教授から財政面での政府の腐敗を知った彼女は、それまでの善悪のシステムが崩壊してしまう。
彼女の転向の決断は、彼女の人生の原則の転向を深く表している。
結論として、このシリーズは『強盗』をテーマとして、人間の本質についての深いメッセージを伝えてる。
本作品の優れてる点は、服装はそれぞれの仕事を表しているが(ポリス側は黒いスーツ、強盗側はマスクをつけた赤いジャンプスーツ)、行動は正反対の見解を示している2つの側を描いていることや。
観てる側は、己の信念の体系や、人生のあらゆる側面に対する見解、何が正しく、何が間違っているかを反映させる機会を得ることができる。
加え、このシリーズは、職業を問わず、人間同士のつながりの中でいつでも現れる可能性のある、友情と感情の感動的な瞬間を見せてくれました。
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