真田ピロシキ

鎌倉殿の13人の真田ピロシキのレビュー・感想・評価

鎌倉殿の13人(2022年製作のドラマ)
4.1
『古畑任三郎』や『王様のレストラン』は若い頃好きだったが今や三谷幸喜は大っ嫌いだ。Amazonプライムで配信してたドラマが発達障害はいくら笑い物にしても構わないと言う舐め腐ったド低俗ドラマで、所詮コイツもイジリという名のイジメが面白いと思ってる日本のクソバカド低脳お笑い芸人と変わりはしないのだ。私は自閉症スペクトラム当事者だ。絶対に許しはしない。

とは言え三谷の大河は『新撰組』も『真田丸』も面白かったし、源平合戦はあまり見られない時代で興味があった。なので試しに見てみたら政子さんが佐殿アタックする1話で惹かれる。小池栄子の政子さん、あなたは面白い。頼朝も分が悪くなれば切り捨てる神輿と割り切る北条の親父殿のシビアさは所詮権力者などこういうものという昨今の個人崇拝傾向(トランプとか自業自得で殺されたカルト宗教広告塔のクズとか)に釘を刺してて良い。

過去の三谷大河同様に力を持った人間がどんどん腐っていく様をこれでもかと描かれてて、上総介粛清を皮切りに身内の殺し合いが続く修羅の鎌倉。どいつもこいつも好きになるよう描かれているのに定められた死が待っている歴史ドラマの残酷さ。サイコ野郎かと思ってたら平宗盛に人の心を見せて好感度が爆上がりした最高の菅田将暉義経にすぐ死が迫る切なさ。義経=チンギス・ハンの珍説が採用されればいいとどれだけ思ったか。

頼朝のクソ野郎がくたばって安心したら後を継いだ主人公の義時が頼朝をも上回る権力のモンスター化。比企はまあ良いにしても、主君の嫡男である頼家、誠実なる畠山、鎌倉殿最大の癒し要員である和田殿も手にかける悪行三昧。終いには3代目実朝。頼朝を上回る名君の器を感じさせる男だったのに散々嫌がらせをした挙句謀殺。どれだけ『イングロリアスバスターズ』や『柳生一族の陰謀』みたいに史実を無視してこの悪党をぶち殺すエンドを期待したものか。ちなみに実朝は同性愛者を匂わされていて、頼朝の不義に怒りをぶつける政子ら女性陣の描写も併せてポリティカルコレクトネスをやんわり含んでいる。実朝がどうしても肉体関係を持てない妻とお互いを慈しみあっているのもとても良い描写でパートナーのあり方に一石を投じる。なのに何でプライムではあんなゴミクソ差別ドラマをやったのか不思議でならないんだが。

そんなすっかり嫌われ者となった義時に対して引導を渡すのは、暗殺者善児の養女で養父同様殺しの道具として使われていたトウが利用され続けた下々の恨みを晴らすのかと思っていたのだが、これ以上彼女に業を重ねさせるのではなく、尼将軍として鎌倉最大の権力を持ち汚れていく弟をずっと見ていた政子なのが落とし所として良い。北条の家のために流された数多の血は北条が精算する。責任を取る姿。このドラマが政府の奴らに人気と聞いたが、手下に汚れ仕事をなすりつけてばかりで恥とも思わない義時すら遠く及ばない腐れ外道どもが笑わせんな。

役者陣は政子の小池栄子にまず掴まれ、菅田将暉の義経と来て横田栄司の和田義盛と秋元才加の巴御前に完璧やられる。若手俳優の躍進も注目どころで特に激情と繊細さを兼ね備えた頼家役の金子大地とトウ役の山本千尋が良い。山本千尋は元々若手アクション俳優として注目されててアクションこそ披露しなかったがキングダム2で羌カイの姉 羌象を演じていたこともあり、これを契機に今後もっと上に行ってほしい。演技のできるアクション俳優。両親の仇である養父 善児を殺す時の姿は良く、前に福本清三と共演した『太秦ライムライト』で言われてた殺陣ができる役者は芝居ができる役者という言葉がハマる。

それとこのドラマをより楽しめたのはアニメの『平家物語』に大ハマりして平家側のドラマも見てたからで、そういう意味でタイミングに恵まれた鑑賞だった。TVを毎週決まった時間に見るのが難しい自分が1年間見続けられたのは大したものです。だがプライムのアレは絶対に許さない。三谷幸喜は大嫌いだということを宣言する。