こたつむり

プリズン・ブレイクのこたつむりのレビュー・感想・評価

プリズン・ブレイク(2005年製作のドラマ)
4.5
★ 完全なる立方体 解きほぐすのは僕
  完全なるIt's show time さあ、行こう

日本でのレンタル開始は2006年。
当時はかなり話題になりましたよね。作品の面白さも然ることながら、売り出し方が巧みだった…という側面もあったと思います。今ほど作品数が多くなかったから、広告費を集中させることができたのかもしれません。

ただ、そんな宣伝に載せられても損はしない作品。特にシーズン1は紛うことなき傑作だと思います。

何しろ、脱獄モノは鉄板ですからね。
どのように脱獄するのか?という観点だけでも一捻り二捻りあって面白いのです。いささか強引な部分(本当に成立するのか疑わしい)もありますけど、ドラマは面白ければ万事OK。

それにリアリティは舞台設定だけで充分。
本物の刑務所を用いて、元受刑者をエキストラに配置し、撮影中は実際に寝泊まりしたそうですから…そりゃあ説得力が違います。日本とお金のかけ方が違いますね。

また、大切なのは個性豊かな登場人物たち。
主人公のマイケルからして全身刺青という度肝を抜くビジュアルから入りますし、友人代表の立ち位置となるスクレも良い味を出していました(町のホットステーション的な存在)。

それと、何よりもティーバッグですよ。
彼無しでは本作を語ることは出来ない、と言わんばかりの存在感。小悪党のような風貌なのに、サイコパスなんですよね。どことなく溢れる愛嬌に騙されてしまうのです。

あと、忘れてはならないのはベリックですね。
彼の魅力が存分に発揮されるのはシーズン2以降ですが、それもシーズン1で徹底的に嫌な奴だったから活きる話(ポテトをシェイクに付けて食べる場面は最高でした)。風貌も相俟って最高のお邪魔キャラです。

まあ、そんなわけで。
先が読めない、という点だけではなく、それを活かすための登場人物の配置も含めて圧倒的な構成力に平伏したいクレバーなドラマ。やはり、製作者が切れ者だから主人公も本物に見えるのでしょう。今からでもオススメです。
こたつむり

こたつむり