mimitakoyaki

花様年華-人生が花になる瞬間のmimitakoyakiのレビュー・感想・評価

4.0
学生運動や労働運動をやる人が主人公な時点で、日本ではこういうドラマはなかなかないだろうと思って、とても新鮮に感じました。
日本だと、学生運動や組合活動、労働運動、社会運動なんていうのは、とっつきにくく、あまり関わりたくないって思われがちですが、ずっと民主化運動をやってきた韓国では、そのへんのイメージは日本人とはちょっと違うのでしょうか。
でも、作品中でも、「大学生なのに勉強もせずにデモばっかりやって…」というセリフがあったり、「タクシー運転手」でもソンガンホがそんなことを言ってたので、冷めた目で見てる人もやはりそれなりにいるんでしょうね。

民主化や社会の公正化を求めて、弱い人の立場に立って運動する学生時代のジェヒョンが、正義感いっぱいで真っ直ぐで、本当に魅力的なんですよね。
ひょんなキッカケで彼に惹かれて以来追いかけ回す検事長の娘のジスは、そんな彼の生き方から大きな影響を受けて、ジェヒョンの模倣だったのが、自分自身の信念や生き方になって成長していくのもとても良かったです。

だから、なぜあんなに惹かれ合い大切に思い合ってた2人が別れたのか、あんなに正義感が強く、幾たびの困難にも信念を貫いたジェヒョンが、20年後の現在では財閥の婿になり、非正規社員のリストラを断行する冷徹な人間になったのか、というところも面白く、過去と現在を行ったり来たりするのでテンポはゆっくりですが、面白く見れました。

40代のジスを演じたイボヨンさんが、まあほんとに素敵なんです。
容姿がめちゃくちゃ美しいというのもありますけど、学生時代にジェヒョンから教わった、常に弱い人の味方であるという生き方をその後も貫き、リストラされた非正規雇用のシングルマザーという、自身も辛く厳しい境遇にありながら、それでも困ってる人達、理不尽な目に遭う弱い立場の人達にいつも寄り添い、一緒に闘おうとする生き様が、最高にかっこいいんです。

自分が何か得するわけでもないし、むしろ蔑まれたり嫌がらせされたりして辛い事が多いのに、その信念を貫く強さが尊く美しいんですよね。
こういう生き方ができる人に憧れるし、尊敬します。

40代のジェヒョンを演じたユジテは、学生時代を演じたジニョンと背格好が違いすぎて、そこは違和感があったのはそうなんですが、ユジテがはじめの方はさほど魅力も感じなかったけど、ジスと再会し、彼女の変わらない生き方に触れて、昔の正義感や優しさ、誠実さを取り戻していくにつれ、めちゃくちゃカッコ良くなっていって、そういう演じ分けがやっぱり上手いんだなと思いました。

このドラマの最大の魅力は、公正な社会や民主主義の実現を求めてデモなどの運動をする人達の事を、日本でイメージされがちな、ヒステリックでやかましく過激、偏ってる、というような描き方ではなく、身を挺して社会のために闘う優しく誠実な人として描かれてる事だと思いました。
そういう社会運動をしてきた人への敬意と共感が感じられ、社会に必要なこととして描かれていたのが本当に良かったです。
こういうテーマを扱い、それをユジテ、イボヨン、ジニョンなどの一流で人気のある俳優が出てるっていうのも素晴らしく、韓国ドラマの魅力をまたあらためて感じたところです。

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