mimitakoyaki

逃げるは恥だが役に立つ ガンバレ人類!新春スペシャル!!のmimitakoyakiのレビュー・感想・評価

5.0
いやー、めちゃくちゃスゴイ!
共感度100%!
「世間の常識」として呪縛されてた事から解放されて、自分らしい生き方をしたらええやん!という優しくて力強いメッセージに首がもげるくらいうなづきまくりでした。

まず、冒頭から、妊娠したいのに産休に入ると欠員になって職場に迷惑かけるからと、ダブって妊娠が重ならないように気を配る女性社員達の会話から始めるんですが、これはもうまさしくわたしの職場でもそうですよ。
産休に入る前には、迷惑かけてすみません、なんてみんな頭下げて申し訳なさそうにするのはいつもの光景。

ましてや平匡さんのように男性が1ヶ月の育休を取るとなると、あの上司の灰原さんの反応なんて全然珍しくないんじゃないですかね。

それに対してこれからの人のためにも「さも当然のように」振る舞う平匡さんもかっこいいし、自分や家族に何かあって仕事を休むことなんて誰にでもあることだと、それに対応できる職場の体制づくりをするべきと諭す沼田さんも素敵でした。

選択的夫婦別姓の問題も織り込みながら、ちゃんと2人で話し合って納得した上で姓を決めるみくりと平匡もほんとに対等だし、無痛分娩にしても、日本ではまだまだ「お腹を痛めて産むからこそ愛せる」だなんて全く根拠なしの有害な母性神話?みたいもんがありますし、同姓か別姓かや出産の方法なども本人達が選択して自由にすればいいやんという、そう言ってくれるだけで、ありがとう!って気持ちになりました。

それに、みくりと平匡みたいな事実婚のカップル、百合ちゃんや風見さんみたいに結婚しない人、やっさんみたいなシングルママ、沼田さんのようなゲイカップルなど、人それぞれの生き方があって、どの人も誰にとやかく言われずに堂々と生きられるべきであって、どんな生き方や家族のあり方も尊重される多様性はやはりホッとさせてくれます。

妊娠中の身体の変化と不安もほんとにその通り!だし、平匡さんがみくりを気遣いながら、育休取るために仕事も精一杯がんばって、いろいろ辛抱して、気持ちも追い込まれていっても、それをちゃんと2人で話し合って理解し合うのが素敵で、見ていて安らぎました。

コロナ禍で、赤ちゃんを抱えた人や店を営む人、大きな損失を抱えた会社の人たちの気持ちが痛いほど伝わってくるし、あの春頃の感染に対する大きな不安や恐怖、緊張が蘇ってきて、まだこれからのこともどうなるかわからないし、あまり希望も持てないけど、なんかそんないろいろが胸に込み上げてきそうになりました。

カジュアルに女性蔑視を繰り出す灰原さんや、家父長制を体現してる平匡のお父さんのような旧態依然とした人も、対話していく中で少しずつ変わっていくのも良いし、そういう人達の事も悪い人として描いてないのも優しくて好きです。

今の社会に根付く呪いや抑圧に対して、流されたり我慢せずに、ちゃんと自分達で考えて異議を唱えて、自分達のスタイルを実践していくのが素晴らしいし、国民的な人気ドラマでこういうことを意識的に盛り込んでいく心意気に大きな拍手をおくりたいです。

キャストもみんなそれぞれが素敵だし、優しくて、コロナ禍の苦しくてピリピリした時だからこそ、より沁みる素晴らしいドラマでした。

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