なっこ

ノースライトのなっこのレビュー・感想・評価

ノースライト(2020年製作のドラマ)
3.3
「同心梅」という言葉を初めて聞きいた。ふたつの身体にひとつの心。とても素敵な表現。作中では、岡嶋と津村、離婚している青瀬夫婦のことを暗示しているようだが、私は見終わってこれは建築家同士の青瀬と岡嶋に当てはまる言葉だったように思えた。

原作は未読だがとても深い内容で、建築と芸術、芸術家と建築家、そして渡りの人々と木工職人、人と人との繋がり、親と子、人柄や技術を受け継ぐという日々の積み重ねについてとても考えさせられた。

「埋めること 足りないものを埋めること 埋めても埋めても足りないものを ただひたすら埋めること」

架空の画家の言葉を心底実感を持って言葉にする北村さんの演技に涙。この言葉にこれ以上の説明がないことがとても潔く力強い。芸術家や建築家でなくても私たちはこの「埋めること」に人生の大半を費やしている気がする。そして誰かにシンクロする心ってとても大事。物語の中で生きているキャラクターにもシンクロする。突き放したところから見ることで自分の人生のヒントにもなる。青瀬と岡嶋は同志で分かち難く結びついている、こういう熱い友情って本当に素敵だし、演技の掛け合いも非常に自然で見事で初共演とはとても思えなかった。

「じゃあ、おまえはどこに帰るんだ?」

自分自身の抱えている葛藤をついぶつけてしまう相手。本当の問い、本当の願いがその言葉の内に見え隠れする。

誰にとっても自分の仕事が残ることがとても大事なこと。時間をかけて情熱をかけて仕上げるのが仕事だから。その熱量を人は受け取る、そういう感受性がとても大事。職人と呼ばれるかつての人々と自分の作品を遺すことのできた現代の人々。あれは親父が作ったんだ、そういう仕事が遺っていくこと。そしてそれを誇りとできる人が繋いでいく想いが、たとえ何もなくなってしまっても確かな手触りとして自分の手に残り続けるような気がしてる。大きな物語と小さな物語の交差点。自分にとって大事に繋いでいきたい物語や想いについて考えさせられた。