震災から10年。「もう」と思うのか「まだ」と思うのかは、きっとどう過ごしてきたかにもよると思うけど、乾杯と言える人もいれば、献杯と言いたい人もいることを、温かい視線で見つめてるドラマだったなと思った。
「被災者じゃなく料理人」前に進み出したのに、いつまでも被災者として紹介されることの歯痒さや悔しさや哀しさそして憤りのような、そういう混濁とした感情が一気に溢れ出たかのような小野寺の姿に、私の感情も揺れた。小野寺への共感と共に、私も余計なものは削ぎ落として、シンプルに物事を見ていきたいなと思った。
小野寺が10年の間に出会った人々にどんな想いを抱き、なぜ宴席を設けたのか、それが1時間にぐぐっと凝縮されて描かれていたと思う。1時間の間にちょっとした仕掛けもあって、最後まで惹き付けられたドラマだった。
