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マッドゴッドのyuminagabeatoのネタバレレビュー・内容・結末

マッドゴッド(2021年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

シネ・リーブル梅田にて鑑賞。製作に30年かかったストップモーションアニメという肩書きに観ざるを得ないと感じていた作品。一言で言うなら「特撮界の地獄百景亡者の戯れ」もしくは「マイナス宇宙のセサミ・ストリート」といったところ。この世のありとあらゆるグロテスク、気持ち悪さ、不気味さ、おぞましさ、えげつなさを詰め込んでこれでもかと見せつけてくれた。体調の良い時でなければ途中で観るのを断念したかもしれない。ただし映像は極めて丁寧に作り込まれていた。単純計算して1分の映像に3ヶ月、1秒に1日半要しているわけで、いかに大変な撮影であったかがうかがえる。しかしながらこの映画を世に送り出したいという監督とスタッフの熱意は見事に結実した。30年前に構想された内容であるため臓物や眼球など若干のレトロ感はあるものの、当時の最高のグロテスクを現代によみがえらせ、終始貫き通してくれたことには敬意を表したい。鑑賞しているうちに、人間の体(特に内部)が実は相当グロテスクなのだと改めて気づいた。そして食事、生殖といった本能的な営みさえも、落ち着いて考えればグロテスクなのだということも。ともかく確かな技術に裏打ちされた特撮映像が紛れもなく芸術作品であり美術品足りうることを感じさせてくれる、そんな映画だった。
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