yuminagabeato

食人族のyuminagabeatoのネタバレレビュー・内容・結末

食人族(1981年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

京都みなみ会館にて鑑賞。4Kリマスター無修正完全版が初公開から40年の時を経て上映されるとの情報でかなり興奮した。当時はベニヤ板に貼られた映画ポスターが普通に電柱なんかに掲示されていた時代で、この映画のポスターも見かけたが、もちろん映画館では観ていない。成人指定の縛りがあって観られなかったのかは定かではないが、どう見ても残虐全開のポスターに思春期真っ只中の自分が何かしらのエロチシズムを感じていたことを本編を観てあながち間違ってはいなかったのだと観賞後妙に納得した。一言でいうと、VFX技術を使わずにアバターの世界観を表現し、ブレア・ウィッチ・プロジェクトのフェイクドキュメント手法で撮影した、野生の王国風弱肉強食の自然の摂理の中で、アメリカ版川口浩探検隊を未知の未開部族がまるでジョーズのように襲撃する残虐パニックホラー。予備知識なしに鑑賞したが心配していた古くささや安っぽさは感じられず、ストーリーも映像も、とてもしっかり作られている印象。野蛮とは何か、残虐とは何かといったテーマもジャーナリズムと絡めてしっかり描かれており、大人の満足に耐え得る作品。コンプライアンスまみれの現在の映画では絶対に敬遠されそうな実写映像も含まれており、そういった意味でも稀少価値のある1本だと思う。特に印象に残ったのはカメを解体して食べるシーン。実にリアルで恐らく後の人間の解体シーンの元ネタになっているのかと思ったが、カメそのものがフェイクだとしたら撮影者に脱帽。元々この映画はどこがフェイクでどこが真実なのか分からない構成になっているので、そこは上手いなあと思う。残念だったのは明らかなサービスお色気シーンがちょこちょこあったのとメインビジュアルの串刺しシーンが意外にあっさりしていたことくらい。
色んなテレビ番組や映画の企画のヒントになって、その後のヒット作に繋がっている原点となるような作品なのではないか、そうであって欲しいと思う、そんな映画だった。
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