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天間荘の三姉妹のyuminagabeatoのネタバレレビュー・内容・結末

天間荘の三姉妹(2022年製作の映画)
3.4

このレビューはネタバレを含みます

ユナイテッドシネマ橿原にて鑑賞。予告の「もっと◯◯したかった」「もう会えないあなたに会いたい」などのフレーズと事前情報のスカイハイで死後の世界が関係する命をテーマにした重たい重たい物語だろうと思っていたら、意外と軽めのファンタジーお仕事ムービーだった。予告自体が思わせぶりなミスリード映像ばかりで本編について何も読み取れないのはうまいのかずるいのか。せっかくいい話で役者陣も豪華なのにそのやり方はなんか違うなとは思った。感想は、まず舞台設定が旅館なのはいいとして、そこで暮らす人達の様子が、三ツ瀬町の存在がリアル過ぎて現世とあの世の中間というファンタジー感が全然ない。町にはタクシーどころか電車まで走ってるし、水族館はあるわ観光ポスターはあるわ。その違和感にずっと居心地が悪いままだったせいで最後までこの世界観に馴染めなかった。現世で昏睡状態になった人がやってきた世界なのに、そこで改めて生か死か選べるってどういうこと?こういうのって一方通行だから人の抗う気持ちとかに感動できるんじゃないの?現世の身体がダメになってた時はどうすんの?とつい反抗的な思考になってしまう。他にもこの世界でも食事は普通にするんだとか、人以外の生き物はどういう設定なのとか、旅館にある現世録にしてもこれまでに旅館に来た人の分あるならそんな少ないはずないだろとか細かい部分も気になる。結局美しい風景やら美味しそうな料理やら天間荘を取り巻く映像がリアル過ぎて、ファンタジーとして心から楽しめなかったのが残念。あと多かれ少なかれ東日本大震災を意識して作られている作品だと思うのだが、被災者の方達はこの映画を観てどう感じるのだろうと考えたとき、製作陣はよくこのテーマに手を出す気になったなと思った。災害に突然命を奪われた家族や恋人や友人のことがこんな風に映画で描かれるなんて思いもしなかっただろうし、残されたご遺族の心がこの映画で少しでも救われるならいいけど、描かれ方に反感を抱く人もきっといるだろうに。それでも「さかなのこ」に引き続きウエットスーツがよく似合うのんさんの自然な演技が色んな感情を丸く収めて持っていってくれる、そんな映画だった。
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