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君たちはどう生きるかのyuminagabeatoのネタバレレビュー・内容・結末

君たちはどう生きるか(2023年製作の映画)
3.6

このレビューはネタバレを含みます

TOHOシネマズ橿原にて通常スクリーンで鑑賞。宮崎駿監督の恐らく最後の作品になるであろう本作、その謎めいた内容が気になっていた。公開前から予告や広告を一切行わず、情報をひた隠しにしてくれた効果かどうかは分からないが、鑑賞当日まで心ない人たちによる大きなネタバレを食うことなくこれたのはありがたかった。唯一、あるYouTuberが「本作は一般人には理解不能なカルトアニメ」として動画を上げており、もちろん中身は視聴していないが「ふーん、そうなんだ」という感じでさらに観る気になった程度である。内容は、一言でいうなら「宮崎アニメ・ジブリアニメの集大成」といったところ。これまで目にしてきた様々な名作のオマージュとおぼしきシーンが随所に溢れている。時代背景は「火垂るの墓」異世界探索のストーリー全体として「千と千尋」異世界の全体イメージは「もののけ姫」と「ハウル」の中間、そこに住む生物は「トトロ」の森といったところか。細かなところでは「ラピュタ」「耳をすませば」もあったような。個人的にはディズニーの「白雪姫」(七人の小人)や「眠れる森の美女」なども連想されるシーンがあったように思う。これまでに宮崎駿監督が手掛けた、そして影響を受けたであろう様々な事柄がモチーフとなってこの映画ができたのだろう。鑑賞日現在、パンフレットは販売されていないのでタイトルや作品に込められた宮崎監督の思いについては知るよしもないが、作画に関してはスタッフの苦労がうかがえるそれこそ精緻の極みで、さすがの宮崎監督も満足のいく出来映えなのではないだろうか。そして声優陣のなんと豪華なことか。有名どころの俳優女優をこれでもかと投入しているのはちょっとやりすぎでは?と思うくらいであったが、そこまでこだわるなら、自分としては七人のお婆さんズにはちゃんと年齢相応の方を当てて欲しかった。無理にしわがれた声を出しているのが透けてきて、少し深みがなくなったような気もする。そして特別出演の木村拓哉さん。観始めてすぐ、主人公眞人の父親役をやっているのは分かったが恐らく案内役の青鷺役もやっているはず。(これは推測なのでもしかしたら違うかも←違いましたねスミマセン)この作品のハウル味を一気に3倍増しにしてしまった。優遇され過ぎでしょ。ハウル味といえば眞人がバタージャムパンを食べるシーンが実にうまそうで、そういう食事シーンを丁寧に(うまそうに)描くのもハウル始め宮崎アニメの真骨頂なのかなと感じた次第。さて、本作はかのYouTuberがいっていたように一般人が理解不能なカルトアニメなのか?という問いに対しては分からない、としか言いようがない。本作は紛れもなく宮崎監督が自分の好きなように考えて好きなように作った作品だと思う。それをどう解釈するかは観た人の自由。観終わって劇場を出る観客の背中に、自分は映画人としてアニメ映画製作の第一人者としてこの作品を残します、さてあなたは何を残しますか?と宮崎監督がいたずらっぽい笑顔で問いかけているような、そんな映画だった。
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