kuu

プレデター:ザ・プレイのkuuのレビュー・感想・評価

プレデター:ザ・プレイ(2022年製作の映画)
3.8
『プレデター:ザ・プレイ』
原題 Prey.
製作年 2022年。上映時間 100分。
1987年公開の第1作を皮切りに、クロスオーバー作品も含めてこれまで6作品が製作されてきたSFアクション『プレデター』シリーズに連なる一作。
『X-MEN』シリーズの少し難解なスピンオフドラマ『レギオン』や映画『アイス・ロード』などに出演し、自身も実際にネイティブアメリカンの血を引く俳優のアンバー・ミッドサンダーが、誇り高き戦士ナルを演じた。
監督は個人的に嵌まってるドラマ『ザ・ボーイズ』や『ブラック・ミラー』を手がけたダン・トラクテンバーグ。
Disney+で2022年8月5日から配信されてます。

300年前のアメリカを舞台に、ネイティブアメリカン最強の部族に生まれ育ち、自身も戦士である女性ナルが、宇宙から飛来した高度な科学技術を有する危険な戦士プレデターを相手に、壮絶な戦いを繰り広げる。

今作品は、『プレデター』シリーズの第5弾で、前4作の前日譚にあたります。
監督と共同脚本は『10クローバーフィールド・レーン』のダン・トラクテンバーグで、素晴らしいアクションセット、美しい環境、そしてオリジナルに匹敵するよく練られたキャラで、シリーズ全体を活性化させていました。
1719年、コマンチ族(実際するネイティブ部族で現在のコマンチェ・ネーションはおよそ1万人で構成されてます)の若い女性ナル(アンバー・ミッドサンダー)は、部族の中で尊敬されるハンターになることを望んでいた。
ある日、鹿狩りに出かけたナルは、空から奇妙な物体が降ってくるのに気づき、それをサンダーバードが『自分の力を証明しろ』と云っているのだと解釈する。
兄のタアベ(ダコタ・ビーバーズ)と共にヤマライオンを倒した後、ナルは生きたまま皮を剥がれたガラガラヘビと一緒に不思議な足跡を発見する。ナルは、この不吉な出来事の原因が何であれ、それを狩るために旅に出る。。。

過去35年間、『プレデター』シリーズは、人類の脅威となるエイリアンを主人公としたアクション映画の中で最も記憶に残るシリーズの一つとして映画界では存続しています。
さらに、このシリーズは世界観の構築に様々なアプローチをとっており本当に気にかけるべき人間のキャラを出すよりも、心ないアクションを見せるための口実に過ぎなかった。
2018年の『ザ・プレデター』で事態はそこのど真ん中にいたかな。
しかし、4作の前日譚を意図した今作品を観た後では、シリーズに加えるに値するだけでなく、多くの点で2018年の『ザ・プレデター』よりは優れている部分も個人的には多々あると思います。
この映画が成功したのは、観客がキャラクターや設定をきちんと理解できるようにするために、わざわざ工夫を凝らしたからだと思います。何世紀も前の、旧式の武器を使う人類の物語を描くことで、技術的に進んだ敵と対峙したとき、彼らがいかに劣勢に立たされるかを感じ取ることができるのです。
ナルやコマンチ族は、いきなり熟練したプレデターをやみくもに攻撃するのではなく、先祖代々の知恵を駆使して、別の方法でプレデターを倒すことを考える。
その結果、不公平な戦いの中で劣勢を克服し全くあり得ない展開とは思えなく良くしてる。
これは、第1作で兵士たちが戦闘経験を活かして、すでに高い知能を持つハンターの裏をかく方法と似ているため、このシリーズは本質的に原点に立ち返っている。
もう一つ重要なのは、適切なサスペンスを作り出してた。
オリジナル『プレデター』の続編で不満だったのは、個人的にはアクションシーンの盛り上がりがほとんどなく、その代わりに、まず重要なことを何も確立せずに視聴者をその渦中に放り込むことを選んだこと。
しかし、今作品では、ナルが敵の足跡を追い、行動を研究し、罠を仕掛けることで、この敵がいかに致命的であるかをゆっくりと、しかし確実に理解していく姿を見ることができる。
ナルの罠はプレデターの未来的な武器に比べれば原始的なモンやけど、大きなダメージを与えるには非常に有効であることがわかる。
ナルが周囲の環境を利用して敵を誘導し、無防備な者にとっては死の淵となるような場所へと導くことができるちゅうのは、少なくとも信憑性がある。
やはり、ホームグラウンドはナルやし。
もうひとつ驚かされたんは、今作品の撮影の巧みさ。
ナルが旅をしている間、18世紀初頭の植民地時代のアメリカがいかに開放的で広大であったかをとらえた素晴らしい撮影が展開されとった。
『プレデター』映画は常に、南米の植物地帯からロサンゼルスの都会の通りまで、アクションのためにさまざまな設定を試みるものやったが、今回は、山並みが広がる野原や、骸骨のような木々が生い茂り、濃霧に覆われた森などが舞台になっている。
こないな場面では、『プレデター』の映画を見ていることを忘れ、コマンチ族についての無関係な映画を見ているような錯覚に陥ることもあった。美しい映像は、前作と同様に残酷で生々しいアクションによって、同時に引き立てられました。
また、CGIはほとんどの場合うまく処理されているって思ったが、一部、痛々しいほど露骨に見える部分があったのは否めない。
例えば、グリズリーベアやヘビなどの動物が襲ってくるシーンは、その動きが不自然で、かなりお粗末かな。
もちろん、プレデターの視点からの特徴的な赤外線ショットがなければ『プレデター』映画とは云いがたい。
ディズニー傘下で水増しされた妥協した『プレデター』映画やと思てましたが、これはまさに、このシリーズが何十年も必要としてきたタイプの映画であり、新しいオーナーはそれを間違いなく確認したんちゃうかな。
これまでのシリーズで最高の主人公といえる(アーノルド・シュワルツェネッガーのダッチやダニー・グローバーのハリガンよりも展開がいい)アンバー・ミッドサンダーのナル役は、今作品がこれほどまでにうまく機能するのに貢献した。
ミットサンダーは、出演作が少ない無名の女優でありながら、このキャラを堂々と演じており大型のプレデターそのものにさえ対抗している。
最初は、ナルが弱点や個人的な欠点がないメアリー・スータイプのキャラになるんかなと思てたけど、しかし、ありがたいことに、彼女が普通の人のように自分の期待を裏切り、実際に失敗から学ぶ姿が十分に見られるのも好感が持てた。
そのおかげで、彼女がキャラとしてきちんと成長するのを見ることができ、技術的に優れたプレデターと対決するのを見るのは、長い目で見ればとても満足のいくものになりました。
長い間、『プレデター』シリーズは年を追うごとに作品の質が低下し、平凡な作品として消えていく運命にあるように思えた。
しかし、今作品は新しい世代のファンを取り込み、必要な活気を与えてくれたことに嬉しいかな。
とても面白い作品でした。
プレデターの持つ熱い三本のレーザーで照準を合わせ放つショルダー・プラズマキャノンの言及はあえて避けときます。
kuu

kuu