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ぼけますから、よろしくお願いします。~おかえり お母さん~のHKのレビュー・感想・評価

3.5
一年前に見たドキュメンタリー『ぼけますから、よろしくお願いします。』の4年後の続編。
昨年の劇場公開時には見逃してしまい、ようやく配信で鑑賞。
前作は、87歳で認知症を発症した母親と、95歳にして初めて家事と母の介護を始めた父親を一人娘の信友監督が広島に帰省する度に撮り続けた作品ですが、本作はその後の記録。

本作では、父が家事と介護に奮闘する中、母が脳梗塞を発症して入院してしまいます。
両親ともに完成を楽しみにしていた前作が劇場公開されましたが、母は観ることかなわず。

父は母に面会するための病院通いが毎日の日課となります。
腰の曲がった父親の足で病院までは片道約1時間。
父はその体力を維持するため、なんと98歳で筋トレを始めます。

このお父上がホントに顔も性格も男前、これぞ夫の鏡かも。
100歳になろうというのに一人で買物・掃除・洗濯をこなし、往復2時間の病院通いに加えて筋トレまで。
「わしゃあ、ハンバーグが食いたいんじゃ」
早くよくなって一緒に美味いものを食べに行こうと毎日母に話しかけます。
しかし母は微かな反応を見せたり見せなかったり・・・

母の病状が深刻化する中、2020年にはコロナ禍に突入、面会も困難になります。
そして、本人の了承が得られぬまま胃瘻による延命措置をしたことに悩む娘(=監督)。
別の病院に移る途中で長年暮らした我が家に一時的に寄った際、物言えぬ母は涙を見せます・・・

そして、一人となった父は100歳を迎え、呉市からご長寿を表彰され、今もご近所に好感度抜群の笑顔を振りまきながら一人で自立生活を送っています。
なんだか人生100年時代のお手本のようです。

私は信友監督と同世代ですが、既に両親は亡くなりました。
この父娘の心中いかばかりかは他人が察することは叶いませんが、このお父上にはいつまでも元気でいて欲しいし、ずっといい家族であり続けて欲しいと思ってしまいます。
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