ヨーク

バッドガイズのヨークのレビュー・感想・評価

バッドガイズ(2022年製作の映画)
4.0
いやー、面白かったですよこれは。期待通りに観たいものを観せてくれた感があって非常に満足でした。そうそう、これくらいの出来のアクションありオシャレ感ありの娯楽映画を定期的に観たいんだよという感じである。まぁぶっちゃけ目新しいものは特にないんだけどお話も映像も音楽も手堅くレベルの高いものでまとまっていてとても良い。
お話はベタなもので出だしにタイトルでもある『バッドガイズ』の面々がゴキゲンに紹介されるのだがその彼らはチームを組んで日々強盗や盗みを働いているワルたちなわけですね。そんな怪盗集団の彼らが狙うのは伝説のお宝である黄金のイルカというオブジェ。それを盗むために作戦を決行したバッドガイズたちだが、なんと作戦は大失敗に終わり捕らえられた彼らはバッドではなくグッドガイズになるように再教育を施されてしまう。果たして彼らはいい子ちゃんになってしまうの、それともまた悪い子に戻って黄金のイルカをゲットするのか、という感じ。
ちなみにバッドガイズのメンバーは狼、蛇、蜘蛛、鮫、ピラニアなのでまぁ典型的な人間に害のある動物であり悪役としてもよく使われる面々である。まぁその彼らが改心するのかどうかっていうのは犯罪者の更生による社会復帰というシリアスな面もありつつ、見た目(が凶暴な動物だとしても)で他人の印象を決めつけてはいけませんよという教育的な部分もある。お話はそういう要素を含みつつ中々ベタな感じで進んでいくのだがその安心して観られる感は良かったですね。パンフレットとかは一切見ていないので実際に参考にしたのかどうかは知らないけど、俺が本作を観ながら何度も頭をよぎったのは『ルパン三世』で、まぁ怪盗ものというジャンル的にも被るところはあるんだけど特に主人公とヒロイン的キャラの等身やスタイルやキャラデザのシルエット、そして何よりもアニメーションの見せ方がルパンにそっくりだったんですよね。長い手足にオーバー気味なリアクション、古臭い手書きアニメとこれまた古臭いカートゥーンを融合したような感触のアニメで尚且つ空中を泳ぐシーンまであるのである! これはもうルパンだろ。ルパンです。BGMもジャジーな感じがメインだったのでそこもルパン。
なのでまぁルパンだからね、これ。しかもテレビスペシャルのルパン。だからそんなびっくりするようなことは起こらずに大体いつもの感じだよねっていう感じで進んでいくし、狼と蛇の友情もなんかルパンと次元でそういうのあったんじゃね? ってなる感じであったりもするんですよ。なんかそういうのが良かったな。安心して観てられる娯楽ものとしては上々の出来でしょう。あと本作ではCGに手書き風の加工が成されていてそれによって動物の体毛のモフモフ感とかがいい感じになってるんだが、多分あれは『スパイダーバース』とか『アーケイン』なんかが成功したから試せた表現なんじゃないかなという気はする。
まぁイマイチなところも挙げればキャラデザ、特にピラニアが魚に手足が生えてるだけの面白みもないやっつけな感じになっていてさすがにそれはないだろと思いもしたが…。あとギャグはもっとハジケて欲しかったというところもあるかな。でもバイクアクションが格好良かったからまぁよし。
まぁ無難でいい映画でしたね。毒にも薬にもならないというところもあるのだが、これくらいの娯楽映画がコンスタントに出てくるなら大満足ですよ。面白かった。
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