ブルー物語

すずめの戸締まりのブルー物語のレビュー・感想・評価

すずめの戸締まり(2022年製作の映画)
4.4
【ドキュメンタリーとファンタジーを織りなす新海誠ワールドの集大成】

◎良かったところ
一つ日本のアニメの国民的なスタイルを確立させた作品なのではないかと思いますね・・

もちろんこのような現代ファンタジーのような作品は大量に創作されていますが、その中でも、強く語り継がれるものとしての力があるのではないでしょうか

とにかく新海誠監督という人は、その確立された作家性を持ちながら、観客、国民の声によく耳を傾けて作品を作る人物です。

今回の作品はとにかく見やすくて、それって大衆の声に合わせた結果の産物だと思うんですが、その中でも、震災のことであったり、こだわりのある設定や描写の数々など、ありきたりでは終わらない、新しさやメッセージ性もある。

最初はモノローグを多用したり、展開やテイストに紆余曲折あった監督ですが、最終的には、多くのこだわりは、作品の背景や細やかな部分に反映されるようになり

結果的に、誰もが見やすいけれど、新海誠監督しか伝えられない表現

という、最高のスタンダードを確立した。

特に今作のようにドキュメンタリーな部分を入れるのは、とてもいいですね、、何度もできることではないですが、物語に対して深く思いを持ちながら見ることができます。

だからこそ、カジュアルな展開の中でも、重たさと情緒的な気持ちを感じることもできる。

ということなんじゃないかと僕は考えていますね、、、

とにかく、設定、展開、背景、それぞれがそれぞれのレイヤーとして何重にもなって同時展開されていて、内容はコンパクトで見やすいんだけど厚みがあるという、見応えたっぷりの作品でしたね

●悪かったところ
やっぱ作品において、メタファーや、語らない設定(裏設定)を取り入れることは、良いと思うのですが、神様の設定など、不明なまま終わったところの一部については、裏の設定というよりかは、物語の穴抜けのように感じて、少しもやっとしました


◇総評
インパクトのありながらリアリティのある緻密な設定、描写、コンパクトでカジュアルな見やすい展開、震災を背景にした日本人として思い入れの強い作品

いろんな視点から、満足感高く楽しめて良かったです。何よりこれから何があるのかと、展開一つ一つにとてもワクワクできました


新海誠監督のこれからも紡いでくれる作品がとても楽しみだなと思います。

素敵な作品をありがとうございました。