ブルー物語

検察側の罪人のブルー物語のレビュー・感想・評価

検察側の罪人(2018年製作の映画)
3.6
「罪を洗い流す雨はないからな」
そんな言葉から始まる本作、罪と罰と正義の関係を問いただすような映画に思えました。

◎良かったところ

木村拓哉さんそして、二宮和也さんの演技は素晴らしく、とくに木村さんはすでに見慣れたような役柄でありながらも、特殊な状況下に置かれることで、いい意味のギャップが生まれて、新しい魅力になっていたと思います。

絵的にインパクトのある場面や、テンポの良い台詞回し、が続くので、基本的に見ていて飽きることはありませんでした。

始終緊迫感があり、各演出面で良い効果を醸し出していると思います。

正義のあるべき姿とは、テーマ含めて、ある程度まとまった形で演出できていて、見応えありです。

▲よくなかった点
とはいえ、活きてこないキャラも出てくる、特に吉高由里子などは、演技は良かったですが、立ち位置として、妙に曖昧な気がしてしまいます。

キャラとして最も変化に関わってくる人物ですが、その突飛さがつぎはぎな印象で、深掘りもないので、ただの物語の装置としてしか動いていないような、そんな印象を覚えてしまいました。

作品全体のテーマはあるのですから、そのテーマの波には乗った上で、キャラ個人のテーマがもうちょっと判然としていれば、すっきりと見れたと感じます。

そしてもう一つは音楽面ですね、なにか雰囲気を作りそうで、一つの形に収まらない、音楽の特徴的な使い方がなんだか浮いていたように思います。

それも含めて、くどいというのか、狙いのど真ん中にこなかったというのか、すこしもわっとしている部分が散見されています。

◎総評

主演2人だけでなく、脇役の演技も光る良い映画でした。それがストーリーでいい味付けがされているのも素晴らしい。

着実な作りをしながらも、自由な演出が重みの中のスパイスになって、目を惹きます。

ただ設定が極端な部分もあったりして、ドキュメンタリーな作りも試みてたように思いましたが、考えさせられる、というよりかは、人間ドラマを楽しんだだけのイメージ

少なくとも名演が見えれて、先がどうなるのか、ハラハラとする、刺激的なサスペンスでした。

主演2人が好きな方、サスペンスが好きな方におすすめです。