【シンプルな見せ方で贈る、迷える子どもたちの群像劇】
◎良かったところ
悩める子どもたちの群像劇を描いた名作です。
結構、映像化が待ち望まれていた本作ですが、ビジュアルなどの世界観はとてもすっと入ってきましたね。
全体的な流れとしても最後の伏線回収までの導線としては綺麗にまとまっていて、無駄に要素が絡まることはなく、シンプルな気持ちで見れました。
監督自身が足し算になりがちなアニメーションで実写的な引き算のアニメを作りたかったと語っていますが、そういった取り組み自体も狙いとしてとても的確だったのではないかと思います、
●悪かったところ
ただ正直ネガティブな意見の方が多いです。
一番感じたところとしては、登場人物の行動原理がほとんど理解できない。
登場人物の抱えているものはなんとなく感じるのに、なぜかよそよそしい自分がいる。
特に中盤、序盤は出来事をなぞっていくだけで、展開に厚みがでてこない。
この小説のまんまの話を1〜2時間に収めようとするのは作品としての弊害だったのでは無いかと思います。省いたものが多すぎた。
もっと展開や設定を変えたり、描き方を工夫したりなどできたのではないか、いい作品なだけに個人的にはとても残念に思っています。
〜総評〜
とはいえ、短くまとめるのが難しい中で、とにかくわかりやすくまとめているなと思ったし。子どもたちの声優陣などもリアリティがあって良かったですね。(芦田愛菜は思っているほどではなかったですが良かったです)
ただ心を動かされたかどうかでいうと、前述した通り
僕自身も過去に不登校になったり、いじめられたりもしながら、葛藤は覚えた子ども時代でしたが、だからこそ、なんかこう、そうじゃない、、という感覚が拭えなかったですね。
感想を見ていると、感動した人はとても多いみたいなので、僕の見方の問題かもしれませんね。
作品一連としてはとても魅力的な作品。
子ども時代の残酷さと理解し合える優しさ、素朴ながらも、深い深い物語が描かれています。あなたはどう思うか、どう感じるか、ぜひその目で確かめてみてくださ。