ケイスケ

ドント・ウォーリー・ダーリンのケイスケのレビュー・感想・評価

3.7
結論:男はクソ(うっすい感想)

前回レビューの『AIR/エア』を監督したベン・アフレックもそうですが、俳優が監督した映画は面白いのが多い。突出しているのはメル・ギブソンですかね。オリヴィア・ワイルドはデビュー作の『ブックスマート 卒業前夜のパーティーデビュー』でいきなり傑作を撮りましたね。最高に頭おかしくて(褒めてる)爽やかな青春映画でした。

完璧な生活が保証された理想の街ビクトリーで愛する夫ジャックと暮らすアリス。この街には「夫は働き、妻は専業主婦でなければならない」「街から勝手に出てはいけない」といったルールが定められていた。あるとき隣人が見知らぬ男たちに連れ去られるのを見かけて以降、彼女の周りで不可解な出来事が頻発するようになる。

ワイルド監督はブックスマート路線で行くのかと思いきや本作はスリラー。始まってすぐ異常な世界観と演出にワクワク。パーティーシーンの雰囲気はジョーダン・ピールの『ゲット・アウト』に近いかも。実際にゲット・アウトみたいなシーンあったしね。随所の描写で何となく世界観は予想が付くんだけど、フローレンス・ピューの演技力で一層不安にさせられる。さすが『ミッド・サマー』の主演なだけあって演技がすごいです。

タイトル直訳すると「ドント・ウォーリー・ダーリン」=「心配しないでダーリン」という意味ですが非常にいいタイトルだと思う。ラストに出てくるのもかなり気が利いてると思いました。一見、夫婦円満に見えても女性は好きだった仕事を辞め、夫に過度に心配されて所有物となってしまう。まずこの世界の夫は仕事、妻は家事、そして行ってはいけないエリアがある、というわかりやすい構図ですよね。

本作はそこまで目新しい話ではなく類似作品は結構ある映画です。何本か思い浮かびましたが、フェミニズム・スリラーという点で観ると『ラストナイト・イン・ソーホー』に近いかもしれませんね。てか終盤の砂漠のカーチェイスとか『マッドマックス 怒りのデス・ロード』じゃないんだから笑。

話の本筋はそこまで難しくありませんが、随所に挟まれる様々な考察要素を読み解くのも面白いです。中盤あたりで墜落する飛行機とかね…切なくなるわ。やはりオリヴィア・ワイルドは演出力に長けてますね。あとフローレンス・ピューってなんでひどい目に遭う姿が似合うんだろ笑。面白かったです!