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ゴーストバスターズ/フローズン・サマーのLudovicoMedのレビュー・感想・評価

1.4
《大味軽快のノリだけじゃ擁護できないワーストバスターズ》

実はひそかに楽しみにしていた『ゴーストバスターズアフターライフ』の直近の続編が公開した。旧シリーズに関してはグダグダな欠点も踏まえつつあの時代にしかないバイブスについつい贔屓してしまう口です。つまりは個人的にハードルの低いお祭り映画として擁護しやすいシリーズなんですが、なんせ前作アフターライフが想定外の傑作であり、泣ける『ゴーストバスターズ』として愛してやまない一作だった。今回予告編でなるほどと、あえて時代遅れのあり得ないディザスタープロットを導入してしれっとウェットさから遠ざかりオカルト的旧シリーズより大衆向けの規模の大きさが絶妙なナシ寄りのアリとしてシリーズの新風を予感させた。
なによりニューヨークに舞台が移った景色の魅力が今回最大の利点でもあり欠点でもあった。荒唐無稽全開のカーアクションがマンハッタン街を駆け抜けるこのノリでまずは盛り上がる。ところが白昼堂々車道をしっちゃかめっちゃかに荒らす光景に疑問を抱いた。前回の閑静なサマーヴィルでの珍騒動とは違いこれだけ荒らすとなればそれに見合うゴーストパニックを先に描いておく必要があった。また旧ゴーストバスターズが活躍できた親愛なるサービス業的バイブスはあの景気づいたニューヨークだから可能であって、世代交代だけの理由で活動だなんてもってのほか。案の定市長に目をつけられる問題こそしっかり拾い上げなければいけなかったところでそもそもジュブナイルの延長線上に結成したこのチームで続編に広げていくのはキツイかと思ってしまう。なんせ絵面はほぼ未成年で頼り甲斐に欠けるし保護者組はなんか教育に不誠実に見えるし。

前作は確かにチーム結成のカタルシスを描いたものの『ゴーストバスターズ』の設定だから許された感動的なオチに転がしてゆく非常に特殊な続編のケースだった。なので完結している後日談として『アフターライフ』と銘打っていた作品のその蛇足を考えるんだからこっちまでやりづらさが伝わってきた。
特にニューヨーク市民との交流が描かれず旧メンツらの内幕に話を向けたのが不味かった。前作に続き悩めるフィービーが何者でも無い思春期において役割を見出そうとする葛藤ならやり甲斐や達成感に相当する市民の感謝の声を糧に折り合いをつけてゆけるがボッチなゴーストとシンパシーを感じ合うというぎこちない展開になっていた。

それよりも今回最も意外だったのがフィービーが主人公格なことだ。ポスターの並びや予告編を見たら、そりゃこのプロットだしまたジュブナイル要素引きずる訳にはいかんわな、と完全に思い込んでたのでびっくり。これだけメンバーがいるんだし効率よくやんわりみんな掘り下げが楽なんじゃないの?そりゃやりずらいでしょ。
とにかくネタ不足が著しく大体が機材の故障でトラブルが組み上がっていくので退屈でしかたない。
それもそのはず、なんせみんなが楽しみにしてた豪快なディザスターモードはクライマックスたった20分だけ。1作目におけるマシュマロマン部分でつまりネタバレ要素を大々宣伝してたのだ。なんでやねん。そしてこの只事じゃない災害はまるで新ゴーストバスターズを引き立てるための便宜であって市民の被害なんて申し訳程度しか描かれない。

とまあ思いっきりナシ寄りのナシだった感想というところでやはりコンセプトのセンスだけでは予想できないなと痛感。映画向きでないのでUSJのアトラクション設定とかなら応用できそうな感じ。
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