great兄やん

ハッチング―孵化―のgreat兄やんのレビュー・感想・評価

ハッチング―孵化―(2022年製作の映画)
4.0
【一言で言うと】
「鬱屈の“化身”」

[あらすじ]
北欧フィンランドのとある街。12歳の少女ティンヤは、幸せな家族の姿を発信することに必死な母親を喜ばすため、自分の感情を抑え込み、母が望む体操大会の優勝を目標とする毎日を過ごしていた。そんな中、彼女は森で見つけた奇妙な卵を家族に内緒で温める。やがて卵は孵化し、卵から出てきた「それ」は、誰もがうらやむ完璧な家族の実像を暴き出していく...。


“幸せな家族”という“脆さ”ーーー。

こういうボディ・ホラー系統の映画大好き😙86分という短さで終始あっという間でしたし、何よりもネチョっとしたキモさが満点で存分に顔を引き攣らさせて頂きました笑(^◇^;)

にしても北欧のホラーってなんか綺麗と汚いが一緒くたに混ざったような怖さが主流ですよね(ー ー;)...
まるでおっきな石をひっくり返したら虫がビッシリ付いてたかのような気持ち悪さ...ビクッとするよりもゾクっとするホラー映画ほど恐ろしいものはないと僕はそう思っています😓

とにかく卵から産まれてくる“ヤツ”のビジュアルの気持ち悪さも大概だが、それ以上に主人公ティンヤの母親の底知れぬ怖さがまさに『ヘレディタリー』のトニ・コレットと同じような“恐怖”を感じた(・・;)
あの張り付いた笑顔といい、作中の登場人物の中で一番ホラーテイストが強かったと思う笑

それにただ怖いだけでなく、“幸せ”の裏側を剥き出しにしたような怖さがより一層現実味を帯びてて良かったですし、何よりも“美しさ”と“穢らわしさ”の二面性を持った描写がより幸福の裏に潜む“歪さ”を強調していてとても説得力がある。
監督であるハンナ・ベルイホルムは今作がデビュー作とのことなので、今後の作品にとても期待ができますね😌...

とにかく北欧ホラーの悍ましさに現代にも通づるメッセージ性をも感じれる、後味然り暫く脳裏に焼き付くであろう一本でした。

SNSにどっぷりハマり込んでいるティンヤの母のように、現実が徐々に虚構に飲み込まれていくというリアルな怖さも孕みつつ、それをボディ・ホラーという“寓話”を持ってして警鐘を鳴らすという所に類稀なる作家性を感じましたね🤔

現実の“わたし”と虚構の“わたし”...幸せを取り繕った“仮面”はいつしか侵蝕していく運命なのかもしれません😰

いやホント…毒親って厄介ですわ😓