Taka

NOPE/ノープのTakaのレビュー・感想・評価

NOPE/ノープ(2022年製作の映画)
4.0
2022年の映画においてここまで正々堂々とジョーダン・ピール監督が作家性を活かしながら"怪物"と対峙する映画を作ったことは清々しい。

監督の前作「アス」を観てもっとシャマランっぽい作品を観たいと個人的には思っていたところでそれに応えるかのような物語構造をしてくれたのでその点では喜ばしかった。なので、これから観る人は極力情報を入れずに「観たいな…」という直感を信じて鑑賞したほうが怪物、脅威に怯えながら楽しめるかと。

また、「ゲット・アウト」や「アス」ほどに観客の心を射抜くわけではないが、 様々な文献やメッセージが物語を大きく作用させる働きを持っている点は監督の立場から醸し出す持ち味でもあるので流石ではあるが、過去作でも感じた構造が手堅すぎる、構造の説明に時間をかけすぎるために物語が飛躍するほどでもない面白さという贅沢な不満点も監督の持ち味ゆえにしょうがないかな…とは思う。もう一捻り二捻りくらい欲しかった。

ただ、現代のハリウッドで監督のオリジナルでこんな作品をしかもIMAXカメラで撮ってしまうというのはお見事ではあるので(撮影監督にホイテ・ヴァン・ホイテマを起用したことで監督の過去作から格段に画の作り方は上がった)、そこは大いに褒めたい、というか、これからも応援したいので、ぜひ、これから観る人はIMAXのスクリーン、出来れば見上げるほどの前列で写し出される映像を浴びていただきたい。

(雑文)
ジョーダン・ピール監督の作品を観るとどうしても松本人志が監督するときにこれほどの筆圧、頭脳がなかったのが残念だな…と思うのだが、本作もそんな感じではあった。
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