すがり

NOPE/ノープのすがりのレビュー・感想・評価

NOPE/ノープ(2022年製作の映画)
4.1
おいおいおいジョーダン・ピール監督の新作だってよ!
見るよ。そんなの。見る見る。
不穏だけで作ったような販促と過去作の軌跡を思えば、この人の映画を見ないわけにはいかないじゃない。

なんなの、この映画。ホラーなの?
謎と謎で謎のやつなの?
それともちょっと風刺入りすぎて説教的なやつなの?

違います。
これはもう言うなればアドベンチャーですよ。

その都度その都度、演出されていく雰囲気が最高にイカしてる。
あの大地、空。雲、風、馬、人。
あんな撮影、映像を見せられてテンション上がらないわけがない。
人類がふとした瞬間にクリント・イーストウッドを見たくなるのはこういう訳なんですよ。

壮大とかいう少しも壮大じゃない言葉はあんまり使いたくないけど、やっぱりああいう壮大な感じの場所というか空間は好き。
あれを目の当たりにすると地球でっけえ!世界広え!って単純に興奮してくるし、こんだけ広けりゃ何が居ても起きても全部受け入れられるって気にもなる。

撮影できただけで多分この映画は勝ってるんだろうな。

そりゃあいわゆるホラー映画な瞬間もある。
きっと何かのバックグラウンドを持った上で受け取って、反芻して考えなきゃいけない部分もあると思う。
表面見てるだけじゃ分からない箇所が結構残ってる印象だもん。

でもね、違うんだよなあ。
この映画はもう全然表面だけで良いわけ。
"も"良いわけ。

ホラーってのは、恐怖ってのは感情全ての起源くらいに私は思ってる。
だからホラー映画ってのは、強引な理屈かもだけどほぼ全ジャンルを内包できると思ってる。
この映画はほんとそれ。表面的に。

しかも、だよ。

謎の飛行物体現る?
被害が出る?
撮影のために対峙する?

おいおいおいおい。見たことあるぞこんな流れ。
スピルバーグ監督の、いまだにあるジャンルで不動の頂点に君臨し続けるあの映画で見たことあるぞこの流れ!

そんなこと思ったら、表面上の、ジャンル的な演出も近い気がしてくる。

おいおいおいおいおい。なんだよその音楽!
ここか!?今までのああいう流れがあってこの瞬間から急に音楽これか!?良いね!!!

つまりアドベンチャーですよこれ。
その後の展開も含め、一度思ったら自分にはもうあの映画のジョーダン・ピールリメイクにしか見えてこない。そしてそれがめっぽう楽しい。

その上最後あんなカットで締めるなんて反則だよ!大好き!

面白いというか笑えるというか怖いというか。
見終わって、いや見てる間も、感情ないまぜだけどかっこいいが気持ちの本筋だね。

ジョーダン・ピールの食わず嫌いも過去に食べてみて苦手だった気持ちも全部捨てて、もう一回ジャンル映画として見に行ったら今回は楽しいと思う。

保証するかって?

NOPE!
すがり

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