すがり

ヨンガシ 変種増殖のすがりのネタバレレビュー・内容・結末

ヨンガシ 変種増殖(2012年製作の映画)
2.4

このレビューはネタバレを含みます

面白い。
めっちゃ韓国映画って感じの雰囲気。
なにがどうとは言えないけどそんな感じ。

アマプラの概要欄がもう「ハリガネムシが人体に寄生でパニック」って教えてくれてるの。
正直それで「は?」ってなったのよ。
そこまで教えてもらってどこまで楽しめるんだよって思いながら観たわけだ。

そしたらもう。面白いんだこれが。
この手のパニックは四方八方世界中の映画で散々見ることができるけどやっぱり面白いんだ。

展開自体は結構しょうもない引き伸ばしなんだけど、そこは韓国映画持ち前の緊迫感を演出するパワーで持っていっちゃう。
だから楽しめちゃう。
題材が題材だから一呼吸の笑いを混ぜてきたりはしない。
緊迫で押し通る。
まあでも、笑いとは別の意味で面白い要素というかシーンというかはあるんだけどね。

でね、良いのよ。
面白いのは面白いんだからさ。

ただ最後の最後にひとつ。
絶対に看過できない引っかかりがあって。

本来人に寄生しない寄生虫が変異を遂げて寄生してくる。
それを巡る製薬会社の陰謀が云々の映画なわけ。
パンデミックものでも特効薬のくだりはめちゃめちゃ重要じゃん。さわりであってオチなんだから。

今回はその陰謀によってあったはずの薬が無い、とか。
薬の成分表は特許の関係で公表できないので他の製薬会社が薬を作れない、とか。
じゃあ政府が会社を買収して成分の内容を保有すれば公表できる、とか。
そういう人間同士の攻防もなかなか熱い。
にもかかわらず。

にもかかわらずですよ。
最後の最後に製薬会社に勤めてる主人公が「生薬があれば特効薬と同じ効果を得られる」って。

ん????

その生薬をいかようにその薬として加工製造するのかっていう特許を巡って政府と黒幕でやりあってたんじゃないのかと。
特効薬製造用の生薬使えばおーるおっけーなら今までの攻防なんだったんだよ。
そんなんで良いんだったら他の製薬会社や政府や犯行グループ側がそれ把握してないの丸っきりおかしいじゃんと。

黒幕の会社側の人間が念入りに製造済みの薬処分してるけど、生薬があれば成分表不明でも良いってなったら生薬まで処分しにいかないのアホ丸出しだろうと。だって製薬側の人間だぞ!と。

いや別に主人公がその製薬の知識を活かして特効薬の主要成分をもとにして、
生薬からおそらくこういう加工と配合で似た効果が得られるはず!一か八かやるしかない!で上手くいくなら良いんですよ。

突然回想で「脂肪酸が入ってたら全部石鹸だ」って言い始めて、だからこの生薬をもとにすれば全部特効薬だっていやいやいや。ほんとにい?
タンパク質入ってたら全部鶏肉になっちゃうじゃん。

映画的にも下手で。
いや映画撮ったことない自分が言うのも丸っきりおかしな話なんだけど。
この回想突然入るんですよ。
多分上手な映画はこの回想は序盤に実際のシーンで存在してると思うんです。
そうやって後につながる一言と、主人公が製薬会社勤務でその知識に精通してるっていう印象付けを行なって、その上で最後に回想から特効薬の模倣を思いつくなら筋は通ってるんですよ。

急に来たから。びっくりしちゃった。

一応この主人公が模倣を思いつくくだりのあとに黒幕の犯行がバレたので、
問答無用で成分の特許が公開されたのかもしれないけど、そこはシーンとして存在してないんですよね。

しかもこのあたりは主人公の思いつきと政府側の動きがごちゃついてるから、
仮に問答無用で公開されたのだとしても、そうすると主人公の動きになんのインパクトも無くなっちゃうんですよ。
だって主人公が先んじてるわけじゃないから。
観てる側、つまり主人公目線として映画を楽しんでる側に快感がない。

寄生虫の変異とその特効薬っていう、本物の理論的な情報を出すことができない映画だから、ぼかそうとして変な感じになってる気がする。

まあ気がするだけ。
自分に製薬とか映画撮影とかの知識経験があるわけじゃないから、結局ただの個人的違和感でしかないのはそう。

この引っかかりだけ除けばしっかり楽しめたよ。
面白かった。
すがり

すがり