B5版

NOPE/ノープのB5版のネタバレレビュー・内容・結末

NOPE/ノープ(2022年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

ジョーダン・ピール監督はテーマがいつも真摯。
その上で作品をエンターテイメントに昇華させている。加えてオタク要素たっぷりに監督自身が創ることを率先して楽しんで撮ってる姿勢がいいよね。
今回は搾取がテーマ。

想像もつかない悍ましい出来事の予感を増幅させるスリラー演出が前半光り輝いてる。無機質にコーティングされた笑い声と大仰な演技から、阿鼻叫喚に落っこちての地獄絵図。
そこで起きた「なにか」はこの映画の根幹のメッセージと物語の行先を断片的に示唆している。
自然を侮った故の悪夢、そして、自立して起立する靴という超常現象が一つの画面に収められたコントラストがシュール。

しかしインパクトのある前半に比べて後半の失速で訴求力が失われたような。
最後の爆発、地域の平和と金稼ぎの天秤の、化け物の捕物騒ぎといい大枠はみんな大好き『JAWS』を参考にしてると思われる。AKIRAや過去有名作のギミックなどオマージュも存分に取り入れたうえで伝えたいものの輪郭は分かるとは思うんだけど…
メッセージに主題をおいてるせいかエピソードのぶつ切りが少しノイズではあった。

映画内時間の外でも昔からGジャンは生息してたわけだけど、本作以前のGジャンの説明は無かったような…
アレは「僕らの町に謎の生き物Gジャンがやってきた!」的な興行生物じゃ無いわけで、いつも身近でこちらに主導権があると錯覚していた自然に牙を剥かれる恐怖についての言及なんだからそこは必須と思う。

ピール監督は、初監督作『ゲットアウト』の衝撃的な発想力、絵力の衝撃度、前半の圧倒的訴求力と後半のダレの落差といい、私の中でシャマラン監督枠に移行しつつある。
次回作は早々にクリスマスに決定してるらしい。
新作嬉しいけど、整合性にも重きを置いてでもじっくり楽しんで撮ってほしいなっていう何から目線な複雑な気持ち。
B5版

B5版