B5版

丘の上の本屋さんのB5版のレビュー・感想・評価

丘の上の本屋さん(2021年製作の映画)
3.1
新年一作目は小回りの効くほっこり映画。

イタリアの石造りの美しい街の古本屋を舞台に、ちょっととぼけた気のいい登場人物等と店主が本にまつわる出来事を巡って会話する。
言ってしまえばそれだけの話なのだが、彼らのいつも通りの会話たちとゆったりと進む日常に触れていくうち、体調を崩した2023年後半に拾い損ねたちいさく柔らかい感情を程よく与えられた気がする。
登場する作品から、エシエンが本を通して想像力を吸収していく成長を感じ取れる。ともすれと説教くさい終わり方になりそうなストレートなメッセージ性のある映画だがじんと来るいい塩梅に収まっている。

ここではない何処かの物語、肺に吸い込む古い紙の匂い、指に伝う手触り、何度も繰り返し噛み締められる感情と内側に溜まる無数の美しい言葉等。
物語といえば専ら映画から摂取しますが、改めて読書もいいな、本屋にでも寄ろうかしらと思える素朴な良作品。
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