B5版

ウーマン・トーキング 私たちの選択のB5版のネタバレレビュー・内容・結末

4.3

このレビューはネタバレを含みます

とても強い物語。素晴らしい作品だった。
現実さえ変えていけるような、力強さがある。変わって欲しいと願わせるような。

女達がただただ今後について話し合うという物語、その背景には歪みを含んだ宗教、教育、環境が関係している。
否全ては形を変えた支配の領域にあった。

話し合いの中で時折暗示される女達の過去はあまりに毒々しくあまりにも悪辣で観てるうちに女達とともに絶望や怒りに呑まれていく。
ずっと人間として損なわれていたこと、それを良しとされていたことに気づいた時の衝撃は計り知れないだろう。
醜悪な過去を経て、彼女らはどう選択するのか。
その方向性の一つに希望があり、その希望は長年育んできた宗教からくる、というのもまた興味深い。
重要な答えはいつも身の内側に響いていて、それは人との会話を通じてやっと人の口から飛び出せるのかもしれない。

「もし生涯誰もあなたの考えを気にしなかったらどんな気持ち?」
「悪い赦しなんてあるの?」
「"赦し"は時として"許可"と混同されるかも」
「"知的精度と真実に心を慣れさせよ"」
作中、張り紙に書いて残しておきたいような言葉がたくさんあった。
この作品は人権についての話で立ちはだかる困難と蔓延る"常識"へのあらゆる寓話だと思う。
たくさんの人に知られるべき作品だ。
B5版

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