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グッバイ・クルエル・ワールドのkuuのレビュー・感想・評価

2.9
『グッバイ・クルエル・ワールド』
映倫区分 R15+
製作年 2022年。上映時間 127分。
西島秀俊を主演に、豪華キャスト共演で描くクライムエンタテインメント。
『さよなら渓谷』『そこのみにて光輝く』などで知られる脚本家・高田亮によるオリジナル脚本作品で、大森立嗣監督がメガホンをとった。
主演の西島のほか、斎藤工、玉城ティナ、宮川大輔、三浦友和が強盗組織のメンバーを演じ、彼らを追い詰める刑事を大森南朋、ラブホテルの従業員を宮沢氷魚(元THE BOOMのボーカル・宮沢和史が父ちゃんですよー)が演じる。

年齢もファッションもバラバラ、互いに素性も知らない5人組の強盗組織が、ラブホテルで秘密裏に行われていたヤクザの資金洗浄現場を襲い、1億円近い大金の強奪に成功する。強盗たちは金を山分けし、何食わぬ顔でそれぞれの日常に戻っていった。しかし、金を奪われたヤクザが裏金で現役の刑事を雇い、強盗組織を本気で追い始めた。騙されて分け前をもらえなかった強盗組織のひとりも、ラブホテルの従業員を巻き込んで立ち上がり、金に群がるクセ者たちの大波乱の物語が始まる。

ヤクザの資金洗浄現場をギャングし(襲い)、1億円近い銭(大金)の強奪に成功する。
って、そないに簡単には銃器は手に入れれんし、そないに銭を動かしてる組織も今は少ないんちゃうかな。
そこら辺から日本の風土にはそぐわないし、リアルさや、突飛でも信憑性に欠けてた。
実際はもっと土臭く、強奪出来る銭の金額も低いもんやと思う。
実際、ヤクザもんの銭を横取りするのはせいぜい、ヤクザもんの賭場をギャングする位が関の山ちゃうかな。
その手で、銭をかっさらってた小生の先輩は事実居たし。
その先輩は、銃器より、むしろトンカチだとかスパナで行ってた。
結果、ヤクザもんに捕まったが、今はそこの賭場を仕切ってた組織の幹部組員になってるから、むしろそちらの方がドラマチックかな。
余談がすぎましたが、今作品の登場人物やけど、全員が、良く書けば受動的、悪く書けば消極的に描かれ、彼らの物語が多くの省略を伴って語られてた。
そのためか、時折筋が通らなかったり、タマタマ通ってしまったり。
俳優さんを追いかけて観るには良いが、キャラを追いかけて観るのにはちょいとしんどい。
個人的には謎めいていて、相反する感情が併存しているポリスマン(大森南朋)がサスペンスを支えてたかなぁと思う。
彼は善なんか悪なんか。
彼に共感するのかしないんか。
いやいや、奥野瑛太のサイコキャラの演技を楽しむべきなんか。
今作品のボーダーラインの表現は、強盗事件の穏やかな余韻の中に危険と狂気を持ち込み、西島の役のハッピーエンドを危うくするものと云える。
また、残念なのは多々あり、恋敵に関する脚本。🌑🌑と⭕⭕が何となく結ばれているが、画面上で愛を証明する機会が与えられていない。
せやし、その情熱はあまりにも台本的で、合理的でないように見えたかな。
二人の『ボニー&クライド』的な旅は、感情表現に基づくものではなく、タランティーノ映画に出てきそうな、カフェのシーンでクライマックスを迎える殺人騒動に基づくものであると云える。
それを日本と云う場所で描くのは無理がありすぎるし、残念になっちまってるんかな。
大森立嗣監督は、音楽、車、暴力、様々なストーリーを駆使して、善と悪の境界線を曖昧にし、何度もそのタランティーノの雰囲気を再現しようとする。
無理があんねんなぁ。
申し訳ないねんけど。
ハリウッドのアンファン・テリブル(早熟な子供)に対する日本のアプローチは、まだ、早かったんかな。
今作品は個人的に忍耐を強いられたけど、近未来の日本が舞台ならどうやったか。
日本映画ではあまり見られない有望な枠組みを提供しているのは確かでした。
ただ、すべての材料が目の前に配置されているように見えるが、全体の構成はまだ少し活気に欠けていたし、今作品には、ドラマや政治的な正しさの演出の陰で居眠りしがちな日本映画への警鐘を期待した。
しかし、結果、かなり退屈なものだったが、絶望的なものではなかったかな。
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