馮美梅

ロストケアの馮美梅のレビュー・感想・評価

ロストケア(2023年製作の映画)
4.0
一概に介護問題と言っても本当に様々だから何が正しいとか間違いとか言う事なんてできない。

今や介護問題というのは日本だけではなく世界中にこの作品のような事柄が多かれ少なかれ家族の間で行われているはず。

主人公・斯波が父の介護のため仕事ができなくなって生活保護の手続きに行くシーンなども、「あなた働けるでしょう」って、肉体的に若くて元気でも認知症や他の病気の後遺症で動けない親の介護寝る時間もなくしてるのにいつ働く時間があるのか逆にたずねたくなるし、この人で話にならないと思ったらもっと上の人間に話をしてしまう。役所の人ももっとちゃんと理由を聞いたあげないといけない。

親だからと言って、子供に言いたい放題我儘放題していい権利もないし、子供も自分の親だから何でも自分がやらないと世間に何か言われるとかそんなこと思うことはないと思う。

結局、それがお互いの苦しみや憎しみに変わってしまったらそれをする意味すらないと私は思うし、自分がもしそんな立場になったら、施設に行きたいと思う。(まぁ子供がいないのでどちらにしても映画のようにはならないかもしれないけれど夫に自分の介護はして欲しくないかあとは思う。私も体が不自由な部分があるから、相手の介護はたぶん出来ないから)

斯波のしたことはある意味自分勝手なところもあるし殺人に変わりはないけれど、だからと言って悲しいかな、納得する部分もある、大友の言い分もある意味正義だけれど、それもまた言葉では何とでもいえるとも思ってしまう。

こういう事って結局、残される人が何を感じ、どう思うのかだよね。
特に家族という近い立場であればあるほど、受け入れられない部分もあって、それが結局悪い方向に向かいがちになる。いがみ合いながら自宅で介護をして、それで親が死んだあと、後悔するくらいならば周囲に何と言われようとも距離を取ることも大切だと思う。

これからもっと高齢者が増えて介護が必要になる人も増えるだろうから、本当に少子化も大切だけれども介護問題も本当に真剣に政府は考えるべきだとこの作品を観るとつくづく感じる。
馮美梅

馮美梅