馮美梅

エゴイストの馮美梅のレビュー・感想・評価

エゴイスト(2023年製作の映画)
3.8
日々の繰り返し。仕事をして、気の置けない仲間と食事をして…
でも、なんか物足りないし満ち足りない。

そんな主人公がゲイ仲間から紹介されたパーソナルトレーナーと出会う。
青年は屈託のない笑顔と励ますのが上手で病弱な母の為に頑張る人だった。そしてそんな彼を好きになり2人は恋人関係になっていく。

しかしその青年龍太は家計のためにウリをしていた。
浩輔を好きになり、その思いを必死に隠しながらお金の為に屈託ない笑顔で苦しみながら男たちの相手をする。そんな龍太の為にと愛人契約みたいに月々お金を出す浩輔。

龍太も浩輔に迷惑かけないようにと昼も夜も働き続ける。
蜜月がずっと続くと思っていた。しかし突然別れはやってきた。
苦しい、悲しいでもそれがどういう感情なのかわからない浩輔。

残された龍太の母を彼の分まで世話をしたいと願い出る。
きっと、愛した人の母ということもあるだろうけれど、きっと浩輔にとっては若くして亡くなった自分の母のようにも感じていたんじゃないかと。

氷魚さんと阿川さんがなんだか笑顔が本当に親子のように見えましたね。
劇中でも、ゲイ仲間たちが会話の中で好きな人と婚姻届けを書いて飾っているという話がありましたが、この映画が公開されるタイミングで政治家が同性婚に関してああだこうだと言ったりしておりますが、別に同性同士が結婚してもいいんじゃないかなと思います。特に不都合なんてないし、婚姻届けを出して名実ともに夫婦(夫夫)になりたいと願っていることっていいんじゃないかな?

そういう人たちに養子縁組などしてもらうと少子化にも貢献できるだろうし、幸せな子供たちも増えるかもしれない。夫婦別姓よりはよほど理にかなっている(あくまで個人的に感じていること)

BGMも必要最低限で静かに物語は進んでいきます。
どこまでも無邪気で純粋無垢のような宮沢氷魚さん演じる龍太とゲイということを隠して(と言っても見た限り隠れてないと思うけどね)ハイブランドで身を固め、キャリアのある仕事をして毎日充実してます的な主人公・浩輔を演じている鈴木亮平さんのカップルのバランスが良かったです。この2人の関係はリバカップルなのね。(両方とも攻も受もする)

龍太に対して愛はあったんだろうけれど、それが必ずしも本当に龍太のためだったのか?浩輔は無意識に自分の自己満足を龍太に強いていたんじゃないだろうか?さらなる束縛(呪縛)を与えてしまったのではないだろうか?でもそれは結局龍太にしかわからない。

愛する人とその家族だった人たちを亡くす浩輔がその後どう生きていくのかちょっと心配ではありました。

男性同士の愛でも愛に変わりはないわけで、男女の恋愛と何ら変わらないものがそこにはありました。そして単純な恋愛映画ではない、家族の形にも注目してみていただきたい作品です。
馮美梅

馮美梅