cocacorgi

哭悲/The Sadnessのcocacorgiのレビュー・感想・評価

哭悲/The Sadness(2021年製作の映画)
3.0
永山弟と春日を混ぜてわりとかっこ良さだけ残ったカレシ。と直美。すごい親近感ルック。地続きの世界の果ての地獄。善意を装って、不審者の隣に何も知らぬ直美を捧げる主人公もしれっと鬼畜指数高い。隣にいる人の安全性を誰も保証してない、そりゃそう。
何の根拠もないのにその人を信用して、至近距離ですれ違うことを許す。ほぼほぼの人類は他人の自制心に依存しないと、まともに生きれない。根拠もない信頼のおかげで今日も外に出れる。行きずりで襲ってくるなら出ない。
自制心とゆう免疫をつけて理性とゆう抗体を作って本能を抑制して、社会に溶けこむ。いつの間にか見慣れたこの営みの形が正しい在り方か分かんない。
そんな中でも新しい価値観は常にアップデートされて、判断基準は乱高下して、世界の形は変わり続ける。進化に取り残されたら淘汰される。を繰り返す。だから彼女の振る舞いも抵抗も、すべて虚しく意味がない、取り残された側だから。進化に乗り遅れたから。
新しい概念が知らぬ間に浸透して、いつの間にか周りのみんながメンタルもフィジカルも進化してる、のに私はしてない、でも時代は待ってくれない。ふとした瞬間に変化は訪れて、今までの常識が通用しない世界になる。今までの人間的正しさは意味を失くす。
理性が残り罪悪感に泣く、も想像でしかないきっと。前時代の人間が新世代の心理を考察したところで、たぶんムダ。笑ってるなら嬉し泣きでも良いんじゃないの。知らんけど。
目の前の誰かの自制心に頼って、目の前の誰かがいきなり豹変する恐怖に震える必要がないように、ぱっと見で狂ってる方が無駄な希望が無くて良心的だよね。遠目でヤベーの分かった方が生物の進化としてわりと妥当な気もする。退化とも言う。
良き隣人はいとも簡単に牙をむく、仲間ぶって近付いてきたのに、新時代は確実に日常を侵食する、半径30cmの世界がよそ者に勝手に改変される、ちょっとアプデを忘れただけでリンチ。
弱肉強食と本能と少しの愛だけで成り立つミニマリズムの極地。新人類同士で完結するならわりと平等。押せ押せで地獄を乗り切る。
cocacorgi

cocacorgi