謎の立方体CUBEに閉じこめられた男女6人の脱出劇を殺人トラップや謎解きで解明していくと共に人間の闇部分をえぐり出し愚かさを感じさせる秀作ホラー。
何十年かぶりに観てみても作品は陳腐化するどころか、２０年以上経った現代社会でも人間の愚かさだけが進行し、男女6人の他に新しいＳＮＳ誹謗中傷キャラクターを入れて切断してやりたいぐらい作品の完成度に衝撃を受けました。
密室で脱出できるかどうかスリリングな部分と各キャラクターのスキルと行き詰まった時の自己主張がぶつかり合う様子は身近にもいそうな程長所と短所がよく伝わって来ます。
あまり書くとネタバレになってしまうので一人だけ。
私の大好きなキャラクターのカザン君。
指先を小刻みに震わせて精神的疾患か何かだと思いますが、作中では何の障碍か触れられていません。
物語が進むにつれてアスペルガー症候群だろうなと推測できます。
肉体派黒人男性から「ウスノロ」呼ばわりされ、脱出するには足を引っ張るだけで何の役にも立たないと思われていますが、それは私たちの暮らす社会と同じ。
アスペルガーの方たちの中には非凡な才能を発揮して社会を支えていることがあまりにも知られていない。
東京の複雑な電車の路線を考え出すのも一般人には難しくなりアスペルガーの才能頼み、インスタに上げるオシャレなお菓子は障碍者の方達が工場でせっせと同じ作業を繰り返し、低賃金で働いて作っているものだったりします。電車で奇声を発している人だって社会の一員として活躍しています。
一人で社会で暮らすには難しい障碍者もサポートがあれば十分力を発揮できるし、この映画の6人も協力し合えばいいのにできない。
そのもどかしさは社会と同じで、ホラーに乗せてヒューマン部分が上手く描かれる人間模様が大好きな作品です。
●2020年146作目●
