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ほんとうのピノッキオのRockoのレビュー・感想・評価

ほんとうのピノッキオ(2019年製作の映画)
3.7
Fan’s Voiceさんオンライン試写。
イタリアの児童文学『ピノキオの冒険』をマッテオ・ガローネ監督がダークファンタジーとして実写映画化。
アカデミー賞衣装デザイン賞・メイクアップ&ヘアスタイリング賞ノミネート作品。
人形のピノッキオは子役が4時間を要する特殊メイクで演じています。
ジェペット爺さん役には『ライフ・イズ・ビューティフル』のロベルト・ベニーニ。完璧!ベニーニが出ているシーンは全て引き締まっていて圧倒的存在感がありました。もっと出番増やして欲しかった。

この作品『ほんとうのピノッキオ』を最初目にした時はあまり興味が湧かなかったのですが、マッテオ・ガローネ監督と知って即試写会応募。
前作の『ドッグマン』も試写会で鑑賞し、今作もオンライン試写と続けて無料観賞で監督に申し訳ありません。『ドッグマン』の不条理なテーマと文学的な独特の世界観が好きだったのでマッテオ・ガローネ監督の手掛けるダークファンタジーなら間違いないだろうとかなり期待して臨みました。

ピノッキオのヴィジュアルに衝撃を受けるも早い段階で慣れます。
2時間もあるのか・・・と思ったら15分ぐらいで話が結構進む。
イタリア映画特有の暗さと古い街並みのセットがとてもマッチしており、そこに木彫りのピノッキオや個性豊かなキャラクターが現れてカオス・・・な筈なのに全体的にダークで落ちついたトーンにユーモラスな場面が上手く溶け込み、独特の世界観を楽しむことが出来ます。逆にこの世界観が苦手だと2時間辛い思いをするかもしれません。
私の場合は思っていたより残酷さが薄くて物足りなかったですが、大人も楽しめる児童文学を読んでいる感覚で最後まで飽きずに観賞できました。

原作通りストーリーはピノッキオの冒険。子供ならではの未熟さから失敗を繰り返し、少しずつ成長して行くピノッキオに対して既に善悪が完成されている大人たちやキャラクターが対照的で現実とファンタジーが融合した世界観がとても面白かったです。
ただ、大袈裟に演出しておらず静かな音楽で盛り立てるのは嫌いでは無いのですが、ハラハラドキドキとまでは行かず感情を入れづらいのと幾つか唐突に話が飛ぶ箇所があり、流れがスムーズではないかなぁと。ツギハギ感は編集の問題なのでしょうか。シュールなキャラクターも面白いのですが・・・何だか少しずつ惜しい。
映像美が素晴らしいので劇場の大スクリーンで観たらキャラクターのインパクトも違ってくるのかもしれません。今日はPCの画質も良くなかったので、いい加減お金払って観に行けということかな。

今作を観て『ピノキオの冒険』の原作にとても興味が湧きました。ピノキオ自体が魅力的なストーリーだと実感します。それを著名監督がどう味付けして個性的な作品にするかを競っているかのようにギレルモ・デル・トロもアニメーションを製作しネトフリで配信予定だそうですが、2020年に「近日配信予定」って。。。

マッテオ・ガローネ監督の才能が散りばめられた『ほんとうのピノッキオ』ダークファンタジーとブラックユーモアの中で優しさや愛に触れることも出来る美しい作品でした✨
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