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別れる決心のギルドのレビュー・感想・評価

別れる決心(2022年製作の映画)
3.3
【映画で現出する見えない心の距離感の変化】
■あらすじ
男が山頂から転落死した事件を追う刑事ヘジュンと、被害者の妻ソレは捜査中に出会った。

取り調べが進む中で、お互いの視線は交差し、それぞれの胸に言葉にならない感情が湧き上がってくる。
いつしかヘジュンはソレに惹かれ、彼女もまたヘジュンに特別な想いを抱き始める。やがて捜査の糸口が見つかり、事件は解決したかに思えた。しかし、それは相手への想いと疑惑が渦巻く“愛の迷路”のはじまりだった・・・・・・。

■みどころ
パク・チャヌクの最新作は刑事と被害者の妻で中国人の妻というロミジュリ的なお話。

捜査ものな映画で臨んで観たけど、実際は情愛の関係に関する実験的な映画で過去作にはない新鮮さを覚えました。

この映画は想いと捜査の疑惑が混在する事で空気の読み合い・心理戦のようなものが展開されていく映画ではあるが、興味深い演出にカットバックを用いた地続きな撮影だと思う。
電話するソレの目の前にはそこにいないはずのジュンが存在し、あたかも同じ空間の中に地続きでいるようなカメラワークが印象的でした。

そこから捜査をしていく中での疑惑で二人の関係性に変化が発生していき、それに伴うカットバックでの対話や地続きのカメラワークにも変化が生じていく。ここへの恋愛関係が半ば転写されていく形で反映されていくのが本作の白眉であると感じました。

とはいえ、実験的要素と内容故に仕方ない部分ではあるが恋愛感情が徐々に揺れ動いていき、良からぬ方向に力学が働く話でそこまでハマりませんでした。
じれったいロマンスが苦手なのもあるかもしれないが、要所要所にスマホのパスワードを思い出して咄嗟に解除するくだりとか意味深な要素がてんこ盛りに重なっていって風呂敷を一気に広げていった感じがするためです。

それ故に風呂敷を一気に広げて、最後の最後には東京フィルメックスの「ユニ」的な着地にいくのは半ば予想はつく上にラストの幻想的な映像以外に惹かれる魅力的な展開も薄かったと感じました。
パク・チャヌクといえば生々しいエロ、グロが有名だと思うけど本作はそこも控えめだったりエロに真面目さを入れて引っ込むような…そんな感覚も覚えました。
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