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CLOSE/クロースのMTMYのレビュー・感想・評価

CLOSE/クロース(2022年製作の映画)
4.0
✔︎『クロース』(2023)
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#mtmy映画イラスト
監督#ルーカスドン#LukasDhont
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"永遠を壊したのは、僕"、、、ほんと?
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あらすじ
花き農家の息子のレオと幼馴染のレミ。昼は花畑や田園を走り回り、夜は寄り添って寝そべる。24時間365日ともに時間を過ごしてきた2人は親友以上で兄弟のような関係だった。
13歳になる2人は同じ中学校に入学する。クラスメイトから2人がからかわれる関係性に見えることに苦悩するレオは、徐々にレミから距離を置くようになる――。
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「親密さ」をどうとるかに徹した映画(映像)だったなと思いました。
主人公の2人の描かれる"近さ"はもちろんですが、その周りの人間関係の距離感にくわえ、
登場人物をひとりひとり切り取って収めていくカメラワークと、その視線の追い方も。

あと、この作品でひとつ私がちょっと意外だなと思ったのが、"オトコオンナ"とか、機嫌が悪く見えたのを「生理」とからかわれる側のレオのほうが自分の居場所を"確保"しようと一生懸命になる点でした。
他の作品とかよくありそうな見せ方としては、"グループ"から認められる方が輪に入って行って、からかわれる方がどんどんハブられて孤立していってしまう印象だったので。

楽器を練習するレミを見つめるレオの目線(にフォーカスしがちなカメラワーク)も、まるでレオがレミに依存しているように見えたのですが、物語が展開するにつれてそれがミスリードだったことに気づきました。

レミは感情的で、レオは社会的に行動するという点で、13歳の彼らには分からなかった違いが浮き彫りになって招いてしまった、というかんじなのかな。

季節の移ろいや、晴れた空の下に咲き乱れる鮮やかな花と、雨の中機械にじゃきじゃき刈られていくその花の映像の対比なども興味深かったです。

さいごに・・
"永遠を壊したのは、僕"とキャッチコピーがありますが、むしろ、
もし仮にあの"レミの喪失"がなかったとして、2人の関係は永遠になれていたかと言えばむしろ逆で、
きっと自然と変容していっていたはずだと思います。
でもそれって、いろんな人間や社会とかかわっていくことで自然なことで、それを私たち大人は気づいて分かっているはず。

・・・このキャッチコピーは13歳のレオの感情に寄り添ったものになるのかな?
(むしろ2人の"親密"な関係はこの作品で永遠のままになったといえそうですし・・)

スタイリッシュさもありつつ、訴えかけてくるものがあり、
私の両隣の女性客は泣いている様子でした。

いい映画でした。
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